いじめ被害児童ノートに“花丸”奈良市教委が調査結果まとめる

奈良市の小学校でいじめを受けた女子児童が「わたしは死ねばいいのに」と書いて提出したノートに、担任の教諭が「花丸」を付けて返していた問題で、市の教育委員会は一連の対応の経緯について調査結果をまとめました。
「管理職に報告せず保護者にも連絡しなかったのは不適切だった」などとしていて、近くその内容を公表する方針です。

奈良市内の小学校に通う5年生の女子児童は、おととしから去年にかけて、同級生に蹴られて1週間のけがをするなどの被害を受け、学校側が去年11月、いじめ防止対策推進法の「重大事態」と認定しました。
女子児童が去年6月に、当時の担任の教諭に提出した自習ノートには「わたしは死ねばいいのに」などと書いてありましたが、教諭は「花丸」を付けたうえで、「You can do it!!」=「あなたはできる」などと書いて返していました。
奈良市教育委員会は、一連の対応の経緯などについて調査を行い、結果をまとめました。
NHKはその調査報告書を入手しました。
それによりますと、教諭は「女子児童からそのページに花丸を付けてほしいと頼まれた。花丸を付けにくい内容であることから一度は断ったが、児童に頼まれたため、心配していることを伝え花丸を付け、励ましの意味を込めてYou can do itと記載した」と話しているということです。
報告書では、女子児童は一貫して、こうしたやりとりの存在を否定しているとしています。
そのうえで「女子児童が自ら進んでそのような申し出をするとも考えがたい」として、教諭の対応について「管理職に報告せず保護者にも連絡しなかったのは不適切だった。仮に、花丸を付けにくい内容で一度は断ったというほどの慎重さがあったのであれば、適切に保護者に説明し見守りなど連携した対応を検討するべきだった」としています。
そして、今後の再発防止に向けて、いじめの疑いがあることを把握したら、初期対応にあたった教員が迅速に情報を共有し、組織的に対応することなどをあげています。
教育委員会は、近くこの調査報告書の内容を公表することにしています。

【児童側の弁護士は】
女子児童側の代理人の三橋和史 弁護士によりますと、調査報告書の内容について、女子児童の保護者は「一定の区切りを迎えた」と受け止めているということです。
三橋弁護士は「児童が勇気を出して伝えようとしたことへの教諭の対応は、児童の心理に全く寄り添わないもので、常軌を逸した対応だった。再発防止として示された、学校が情報を共有して組織的な対応をすることは、いじめ防止対策推進法の上からも当然のことなので、より具体的にどのように進めていくかを示していただかないと、不十分だ」と話していました。