奈良 アライグマ被害の寺 本堂など有料公開し修繕費用に

野生のアライグマに境内の建物が傷つけられた奈良市の寺が、修繕費用を集めるため、ふだん見ることができない本堂や茶室を有料で公開しています。

奈良市にある興福院は、ことし9月ごろから野生のアライグマが国の重要文化財に指定されている客殿のひわだぶきの屋根に穴を開けて侵入するなど、境内にある建物が傷つけられる被害が相次いでいます。
寺では、屋根のふき替え工事を検討していますが、費用がかさむことから、ふだん見ることができない本堂や客殿、それに3つの茶室を24日から3日間限定で、有料で公開し、拝観料を修繕費用にあてることにしています。
寺によりますと、公開される建物のうち、3つの茶室は一般に公開されたことがなく、なかでも「龍松庵(りゅうしょうあん)」と呼ばれる茶室は、江戸時代、東大寺の大仏復興に尽力した公慶上人が建て、昭和初期に寺に移築されたものだということです。
檀家の1人、京條幸子さんは「多くの人に足を運んでいただき、少しでも修繕の資金に回したい」と話していました。
公開は今月(11月)26日までとなっています。

【アライグマのトートバッグも販売】
寺では修繕費用を集めるために、今回の公開にあわせてトートバッグも販売しています。
トートバッグは、屋根のふき替え工事を行うきっかけとなった、アライグマが反省する様子がプリントされていて、ナチュラル、黒、カーキの3色展開となっています。
寺はふだん一般公開されておらず、境内にある建物の維持は、檀家の寄付に頼っている状況だということで、今回、修繕費用の足しにしようと檀家の役員が話し合ってバッグ販売を決めたということです。
寺の特別拝観事務局は「アライグマは屋根に穴をあけるなど悪さをしたのは事実だが、屋根をふき替えるきっかけをつくってくれたと捉えることもできる。グッズのモデルとして費用集めに一役買ってもらえたら」とコメントしています。