奈良 女児誘拐殺害事件19年 小学校で命の大切さ考える集会

平成16年に奈良市の小学1年生の女の子が誘拐され、殺害された事件は、17日で19年になります。
女の子が通っていた小学校では、命の大切さを考える集会が開かれました。

平成16年の11月17日、奈良市の小学1年生、有山楓ちゃん(当時7歳)が下校途中に小林薫元死刑囚に誘拐され、殺害されました。
事件から19年となる17日、楓ちゃんが通っていた富雄北小学校では、命の大切さを考える集会が開かれ、児童や教諭ら448人が参加しました。
集会では事件当時、教諭として学校に勤務していた後藤誠司校長が「事件から19年たった今も変わらず、いつまでも1つの大切な命が奪われた日であることは忘れてはならない」と話しました。
そのあと、当時の校長が遺族に贈った鐘が楓ちゃんの当時の年齢と同じ7回打ち鳴らされるなか、全員で黙とうしました。
そして、児童の代表が「鐘の音を聞いて私たちが毎日、当たり前に暮らせていることは当たり前ではないと気づいた。楓さんが生きた7年間を忘れず、未来に語り継いでいきたい」と述べました。
このあと、各学年の代表が、ふだんから心がける安全対策として「1人の時は防犯ブザーを持って自分の命を守ります」などと宣言をしていました。

【地域の見守り 課題も】
事件のあと、県内でも子どもの見守り活動が広がりましたが、課題も見えてきています。
奈良市の六条小学校の学区では、平日は朝と夕方、毎日ボランティアが子どもの登下校の様子を見守っています。
しかし、地域で見守り活動を続ける団体によりますと、主に仕事を退職した高齢者が活動の中心で、多い時で70人ほどいたボランティアが、ことしは50人ほどと、減少傾向となっているということです。
また、地域社会のつながりが希薄になったことなどで、新しい担い手もなかなか見つからないということです。
このため、見守る場所に隙間ができ、子どもが1人になってしまう場所が増えるケースもでているということです。
見守りに参加できる人を増やそうと、この地域では全国で導入が進められている、日常生活のなかで子どもを見守る「ながら見守り」を取り入れています。
「ながら見守り」は、散歩や庭仕事などを登下校の時間帯に行うことで、比較的、負担をかけずに見守りを行うことができるということです。
六条校区学童安全委員会の飯田元親 副会長は、「多くの人が見守ることで不審者に手を出せないと思わせる地域にしていきたい。ただ、まだまだ人数が少ないので、住民の意識を高めるよう手だてを考えたい」と話していました。

【犯罪学の専門家 「見守りマップで防犯意識を」】
子どもたちを見守る活動について、犯罪学が専門の立正大学の小宮信夫教授は、「全国的に見守り活動は高齢化や人手不足になっている。不審者情報に基づいた見守り活動では限界があるが、不審者が犯罪をおこしやすい「場所」を把握して見守れば、少ない人員で効果的な活動ができる」と話しています。
そのうえで、「先進的な見守り活動を展開している新潟県では、危険な場所を記載した見守りマップを学校側と子どもが一緒に作成している。マップを作って地域の危険な場所を可視化して把握することが重要だ。こうしたマップを活用するなどして、大人だけでなく子どもたち自身の危機管理能力を高めていくことも必要だ」と話していました。