奈良 女児誘拐殺害事件から19年 父親が手記

平成16年11月に奈良市の小学校に通っていた小学1年の女の子が誘拐され、殺害された事件から17日で19年になります。
女の子の父親が手記を公表し、「悲しみや苦しみは時間が解決はしてくれません。子供たちが被害に遭わない社会を心から願います」などとつづっています。

奈良市の小学1年だった有山楓ちゃん(当時7歳)は平成16年11月17日、下校途中に小林薫元死刑囚に誘拐され殺害されました。
事件から17日で19年になるのに合わせ、父親の茂樹さんは報道機関に手記を寄せました。
この中では「もう19年も過ぎたという気持ちとまだという気持ちです。あの日楓が歩いて帰っていた道を下の娘と今年初めて歩きました。楓の手掛かりを探しながら歩いた道はとても長く感じました」としたうえで、「楓を守ってやれなかった後悔だけは今も変わることもなく、時間だけは過ぎていきます」と今の胸の内をつづっています。
そして「悲しみや苦しみは時間が解決はしてくれません。このような思いを誰もしないためにも、子供たちが被害に遭わない社会を心から願います」と結んでいます。

有山楓ちゃん(当時7歳)の父親、茂樹さんがいまの心境をつづった手記の全文です。

「楓が被害に遭った事件から19年が経ちました。もう19年も過ぎたという気持ちとまだという気持ちです。
あの日楓が歩いて帰っていた道を下の娘と今年初めて歩きました。楓の手掛かりを探しながら歩いた道はとても長く感じました。
早く自転車に乗りたかっただろうし、早く母親の待つ学校へ向かいたかったはずです。
楓を守ってやれなかった後悔だけは今も変わることもなく、時間だけは過ぎていきます。
楓は7年という短い時間をどんな思いで生きてきたのだろうか、毎日を楽しく過ごしたのだろうか、やりたいことやできることはちゃんとできていたのか楓に聞くことはできません。
それでも今もたくさんの方が楓を覚えていてくれることは私にとって楓が7年間をしっかり生き抜いてきた証だと思います。
みんなの思いの中で楓はちゃんと26歳へ成長しています。そして今もみんなを見守るために楓は飛び回っているのだと思います。
悲しみや苦しみは時間が解決はしてくれません。
このような思いを誰もしないためにも、子供たちが被害に遭わない社会を心から願います。 有山茂樹」。