奈良県 高校授業料実質無償化 大型公共事業見直しで財源活用

県が来年度からの実施を目指す高校授業料の実質、無償化について、山下知事は大型公共事業の見直しで生まれた財源を活用していく考えを示しました。

18日、県が発表した高校授業料の実質、無償化の制度案では、世帯年収が910万円未満とする所得制限を設けています。
そのうえで、▼所得制限を下回る世帯については、県内の私立高校に通う生徒も含め、国の就学支援金とあわせて年間で1人あたり63万円を上限に公費で負担するほか、▼所得制限以上であっても、条件を満たしていれば生徒1人あたり年間5万9400円を上限に県が独自で支援するなどとしています。
県は必要な事業費をおよそ13億円と試算していて、来年度の予算案に盛り込む方針にしています。
これについて、山下知事は定例会見で「これまで大型公共事業のために毎年26億円余りを基金に積み立てていたが、ほとんどの事業を中止した。積み立ての必要がなくなったので、その一部を無償化にあてたい」と述べ、大型公共事業の見直しで生まれた財源を活用していく考えを示しました。
また、制度では県外の高校に通う生徒は対象外となっていますが、山下知事は今後の検討課題としたうえで「県の財政状況に加え、大阪など近隣府県の動向を見極め、足並みをそろえて実施したほうが良い」と述べるにとどまりました。

【県私立中学高等学校連合会は】
今回の県の制度案について、県内の私立の中学や高校などで作る県私立中学高等学校連合会は「我々のこれまでの要望に応える内容で、高く評価している。この案が来年度から実施されることを願うとともに私学としては、県民の期待に添えるよう質の高い教育をさらに進めていきたい」とコメントしています。