仲川市長 奈良公園のシカ“特別柵は十分でない”

奈良公園のシカを保護している「奈良の鹿愛護会」が運営する施設について奈良市の仲川市長は、「シカらしく寿命をまっとうしてもらうには施設は十分でないと思う」と述べました。

「奈良の鹿愛護会」が奈良公園で運営している保護施設、「鹿苑」の中にある「特別柵」について奈良市の仲川市長は10日の定例の記者会見で「特別柵に入れられているシカは動物愛護の世界的な観点などから寿命をまっとうするには特別柵は十分でないと思う」と述べました。
その上で、「神の使いとしてシカを信仰する春日大社や施設管理の権限がある奈良県と特別柵をどうするべきか議論をしたい」と述べ施設のあり方について検討していく考えを示しました。
「特別柵」は▼畑などで農作物を食い荒らしたり、▼人を攻撃したりするなど、人間に何らかの危害を加えたシカが雄と雌で別々に分けられフェンスに囲まれた状態で収容されています。
この施設で保護されているシカについて9月、「奈良の鹿愛護会」の専属の獣医師から、「十分なエサが与えられておらず衰弱していて、動物虐待だ」という通報が寄せられ、現在、市の保健所が調査を進めています。
一方、愛護会は、「しっかりエサを与えていて、虐待といわれるのは心外だ」と反論しています。
保健所は10月中にも調査結果を公表することにしています。