奈良 新型コロナ感染者数減少 「プール熱」は大流行に

県の「定点把握」による先週の新型コロナウイルスの感染者数は、4週連続で前の週を下回りました。
一方、「咽頭結膜熱」いわゆる「プール熱」の感染者数は、国の警報レベルの目安を超えていて、県は、基本的な感染対策をとるよう注意を呼びかけています。

県の発表によりますと、先月(9月)25日から今月(10月)1日までの1週間に県内の55の医療機関から報告された新型コロナの新規感染者数は517人でした。
1医療機関あたりでは9.4人で、前の週(11.09人)より1.69減って4週連続で前の週を下回りました。
一方、「咽頭結膜熱」いわゆる「プール熱」は、県内の34の小児科から報告された感染者数は132人でした。
1医療機関あたりでは3.88人で、国の警報レベルの目安となる「3」人を超える「大流行」になっていて、全国平均の1.81人を大きく上回っています。
「プール熱」は、子どもを中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、▼せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、▼ウイルスが付着したタオルや、▼プールでの接触などを介しても感染します。
県によりますと、プール熱がこの時期に流行するのは珍しいということで、県は、せっけんを使った手洗いを徹底するとともに、感染した子どもが使ったタオルやおもちゃなどは使わないよう注意を呼びかけています。

【親からは不安の声】
「プール熱」が県内で大流行していることについて、子どもを持つ親からは不安の声が上がっていました。
奈良市に住む5歳と3歳の母親は、「上の子が通う幼稚園ではやっていた。熱が出たときに何の検査をすればいいかわからない不安があります」と話していました。
奈良市に住む2歳の子どもを持つ母親は、「『プール熱』はあまり聞いたことがなかった。周囲では今のところはやっていないが、手洗いや消毒などの対策をしていきたい」と話していました。
また、奈良市の母親は、「子どもが7か月のころに新型コロナに感染し、とても大変で、少し熱が出ただけでなんなんだろうと不安になった。今でも屋内で人が密集しているところで遊ばせるのは不安に感じるので、早く感染者が減ってほしい」と話していました。

【小児科医は】
プール熱の大流行について、県小児科医会の会長を務める高田慶応医師は、「9月になってから目立つようになってきた。本来は初夏に多い夏かぜのウイルスで、流行時期としては遅いが、新型コロナの感染対策が緩むなかで、さまざまなウイルスへの免疫がついていない子どもの間で流行したとみられる」と分析しています。
また、特徴について、高田医師は、「長く続く高熱や目の結膜炎が特有の症状で、ほかにもへんとう腺が腫れることでのどが痛くなり飲食がしづらくなる。重症化すると肺炎を引き起こすことがあるが、非常にまれなので神経質になって恐れる必要はない」と話しています。
一方で、特別な治療薬はなく、解熱剤を使うといった対症療法が治療の基本になることから、高田医師は、「感染を完全に防ぐのは現実的に無理で、特に子どもはある程度うまくつきあっていく必要があるウイルスだ。高熱が出ても慌てずに、かかりつけの病院を受診してほしい」と話しています。