奈良交通 来年2月からバスの運賃値上げへ

ガソリンなどの物価の高騰が続くなか、県内の路線バスを運行する奈良交通は、来年(令和6年)2月から運賃を値上げすることを発表しました。

これは、奈良交通が25日、県庁で会見を開いて明らかにしたものです。
それによりますと、奈良交通が県内149路線で運行するバスについて、来年2月1日から初乗り運賃と、奈良市内を一定の料金で運行するバスの運賃を、それぞれ30円値上げするとしました。
また、距離に応じて運賃が値上げされ、橿原市から和歌山県新宮市を結ぶ路線では、最大800円の値上げになります。
値上げは、消費税率の引き上げに伴うものを除くと、平成21年以来14年ぶりで、値上げの幅は過去最高だということです。
値上げの理由について、奈良交通は、燃料価格の上昇などの物価高騰に加え、少子高齢化や沿線人口の減少に伴う利用者の減少、それに、脱炭素社会実現のため電気バスへの車両の入れ替えを進める必要性などを挙げています。
奈良交通は、25日付けで国土交通省に申請を行い、審査を経て、年内にも認可される見通しです。
奈良交通の後藤秀雄 常務取締役は、「経営努力を重ねてきたが、物価の高騰など厳しい環境で増加したコストを吸収することは難しく、やむなく値上げすることになった。ぜひともご理解をいただきたい」と話していました。

【値上げに戸惑いの声】
奈良市に住む70歳以上の高齢者は、市の補助を受けて現在100円で市内で路線バスを利用できますが、今後、料金が値上げされる可能性があることについて戸惑いの声が聞かれました。
奈良市の80代の女性は、「毎日利用するので、値段が上がると困る。今は安いが、値段が上がったら外出の頻度も減らさなければならないかもしれない」と話していました。
一方、値上げはやむをえないといった声もあり、奈良市の60代の女性は、「車に乗らなくなったので値段が上がってもバスに乗るしかない。運賃は上がらないに越したことはないが、バス会社の事情もあるのでしかたない」と話していました。
また、奈良市の80代の男性は、「いろいろなものが値上がりしているので、しかたないと思う。運賃が上がっても変わらず利用する」と話していました。