自転車のヘルメット努力義務 観光客の着用進まず 対応苦慮

ことし4月から自転車のヘルメット着用が努力義務化されましたが、観光地ににぎわいが戻りつつある中、県内のレンタサイクルでは、着用促進に向けて努力義務という形に頭を悩ませています。

レンタサイクルは、奈良県内の観光地でも旅先の移動手段として観光客に利用されていて、県も各地の観光スポットを巡る足として活用に力を入れています。
こうした中、ことし4月から自転車のヘルメット着用は年齢を問わず努力義務化され、県内のレンタサイクル店でも着用を促す取り組みが行われています。
近鉄奈良駅前にあるレンタサイクル店では、努力義務化に合わせて、希望者にヘルメットを100円で貸し出していますが、使い捨ての紙の帽子もあわせて渡しています。
ヘルメットに直接髪の毛や肌が触れないようにすることで、より清潔に使ってもらい、着用率を高めようという考えです。
しかし、ヘルメットの貸し出しを希望する人は、ほとんどいないということです。
運営会社の担当者は「自転車に乗る人のヘルメットに対する意識が、まだまだ低いのでは」と話していました。
また、レンタサイクルを行っている宇陀市の道の駅では、希望の有無にかかわらず、自転車とセットでヘルメットを貸し出すようにしています。
しかし、道の駅によりますと、こちらも2割程度の着用率にとどまっているということです。
道の駅の駅長は「安全面が一番重要だと思うので、引き続きお願いしていきたい」と話していました。
観光地の取材では、レンタサイクルの利用者でヘルメットをかぶっている人はほとんど見られず、観光スポットや土産物店に立ち寄るたびに脱いだりかぶったりするのは面倒で、ヘルメットが邪魔になるという声や、旅先で髪形が乱れるのは嫌だという声が聞かれました。
強制ではない努力義務ということに加え、こうした理由も着用が進まない背景にあるものと思われます。
自転車の安全対策に詳しい、自転車活用推進研究会の小林成基 理事長は「安全に楽しく旅を続けるためにも、旅先で自転車に乗るときは、ヘルメットを着用することが必要な要素だということを理解してもらうことが大事。事業者は『かぶってもかぶらなくてもいい』ではなく『かぶることが当たり前』という伝え方を、利用者にするべきだ」と話していました。