公職選挙法違反事件 維新 前川清成衆院議員 2審も有罪判決

日本維新の会の前川清成 衆議院議員が、おととし(2021年)の衆議院選挙の公示前に、自らへの投票を呼びかける文書を不特定多数の有権者に送ったとして公職選挙法違反の罪に問われた裁判で、2審の大阪高等裁判所は議員の無罪主張を退け、1審に続き、罰金30万円の有罪判決を言い渡しました。

日本維新の会の衆議院議員、前川清成被告(60)は、奈良1区から立候補し、比例代表で復活当選したおととしの衆議院選挙で、公示前に、出身大学の卒業生の名簿をもとに選挙区内の人に対して「選挙はがき」の用紙や知り合いの名前や住所を記入して送り返すよう宛名書きを依頼する文書などを郵送したことが、不特定多数の有権者に自らへの投票を呼びかける行為だったとして公職選挙法違反の罪に問われました。
1審の奈良地方裁判所は、ことし1月、罰金30万円の有罪判決を言い渡し、議員側が控訴していて、議員側は「選挙運動にあたらない」として1審に続いて無罪を主張していました。
19日の判決で、2審の大阪高等裁判所の長井秀典 裁判長は「名簿に載っている人たちは、卒業生であることと奈良に在住していること以外共通点はなく、選挙活動に協力することを期待できる関係が築かれた集団ではない」と指摘しました。
そのうえで「宛名書きを依頼する書類などには投票を依頼する文言があり、直接的な投票への効果が期待できる行為で実質的な投票依頼だ」として、1審に続いて罰金30万円の有罪判決を言い渡しました。
この判決が確定すれば、5年間、公民権が停止され、すべての選挙に立候補できなくなります。

【前川議員“不本意で残念”】
判決のあと、日本維新の会の前川清成衆議院議員が記者会見を開き、「投票依頼をしてはいけないと十分認識していましたが、高裁でも投票を得る目的と認定されたことは非常に不本意で残念だ」と述べました。
みずからの進退について問われると、「私1人で判断できることではないので、奈良県総支部と相談したい」と述べ、最高裁判所への上告についても判決の内容を踏まえて関係者と相談の上検討するとしています。

【維新 奈良県総支部 山下代表は】
前川清成衆議院議員が、2審の大阪高等裁判所で有罪判決を受けたことについて、日本維新の会奈良県総支部の代表を務める奈良県の山下知事は「判決を厳粛に受け止めている。県総支部としての対応は本人と協議して決定する」とコメントしています。

【前川清成議員とは】
前川清成議員は橿原市出身の60歳。
弁護士から平成16年に当時の民主党から立候補して参議院議員を2期つとめ、民主党政権では、内閣府副大臣を歴任しました。
おととし(令和3年)の衆議院議員選挙では、日本維新の会の公認を得て、奈良市などをふくむ奈良1区から立候補し、小選挙区では落選しましたが、重複立候補していた比例近畿ブロックで復活当選しました。
前川議員は、去年1月から党の奈良県総支部の代表をつとめていましたが、裁判の1審で有罪判決を受けたことを受けてことし1月に辞任しました。
その一方、前川議員は裁判の1審、2審とも「選挙の準備行為で事前の選挙運動にはあたらない」などとして無罪を主張していました。