銃撃事件の動機 被告は先月も「旧統一教会への恨み」趣旨の話

安倍元総理大臣が演説中に銃撃された事件から1年、殺人の罪などで起訴された山上徹也被告が、1年近く手紙を送り続けたNHKの記者の手紙に答える形で、先月、「旧統一教会への恨みが事件につながった」という趣旨の話をしていたことがわかりました。
今後の裁判でも焦点となる事件の動機が、1年が経過した今も逮捕直後から変わらず、維持されていることが明らかになりました。

去年7月8日、奈良市の大和西大寺駅前で参議院選挙の応援演説をしていた安倍元総理大臣が銃撃されて死亡した事件では、無職の山上徹也被告(42)が殺人や銃刀法違反などの罪で起訴されています。
捜査関係者によりますと、山上被告は逮捕直後の調べに対し、母親が多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こしたと供述し、元総理を狙った理由は「政治信条への恨みではなく、教団と近しい関係にあると思った」などと話していました。
一方で、被告をめぐっては、非正規雇用の職場を転々としていたことなど、自身の境遇への不満が事件につながったのではないかという見方もあり、NHKは、被告に宛てて1年近くにわたって繰り返し手紙を送り、事件の動機を尋ねました。
その結果、被告が先月になって、記者の手紙に答える形で、改めて「旧統一教会への恨みが事件につながった」という趣旨の話をしていたことが関係者への取材でわかりました。
さらに、「事件の動機が旧統一教会以外にあるのではないかと推測されることは残念だ」という趣旨の話もしていたということで、今後の裁判でも焦点となる事件の動機が、1年が経過した今も逮捕直後から変わらず、維持されていることが明らかになりました。
この事件の裁判は来年以降になる見通しで、山上被告が法廷で何を話し、事件の経緯や動機がどこまで明らかになるのかが注目されます。