元首相銃撃 公判前整理手続き中止 不審物中身は刑の減軽署名

安倍元総理大臣が銃撃された事件で殺人などの罪で起訴された山上徹也被告の裁判に向けて争点などを絞り込む「公判前整理手続き」が12日、奈良地方裁判所で予定されていましたが、裁判所に危険物の可能性のある段ボール箱が届いたことから、中止になりました。
捜査関係者などによりますと警察が箱の中身などを調べた結果、被告の刑を軽くするよう求める署名だったということです。

警察などによりますと、12日午前11時15分ごろ、奈良地方裁判所に縦およそ33センチ、横およそ28センチ、高さおよそ26センチの段ボール箱が粘着テープでこん包された状態で配達され、職員が金属探知機で調べたところ金属の反応があったため、警察に通報したということです。
危険物が入っている可能性があるとして、裁判所では職員や来庁者が庁舎内から避難したほか、警察が爆発物処理班を出して段ボール箱を運び出すなど、騒然となりました。
12日は、午後3時から、安倍元総理大臣が銃撃された事件で、殺人などの罪で起訴された山上徹也被告の争点などを絞り込む「公判前整理手続き」が本人も出席して行われる予定でしたが、この影響で、手続きは中止となりました。
警察が詳しく調べたところ、段ボール箱の宛先は奈良地裁の山上被告の公判前整理手続きの担当宛てだったということです。
捜査関係者によりますと、箱の中は被告の刑を軽くするよう求める大量の署名で、差出人は都内に住む実在の人物だということで、警察が話を聞いたところ署名を送ったことを認めているということです。
警察はこの人物から話を聞くなどして詳しい経緯などを調べています。

【弁護団「平穏な状況下での手続き望む」】
奈良地方裁判所に危険物の可能性のある段ボール箱が届いた影響で、予定されていた山上徹也被告の「公判前整理手続き」が中止となったことを受けて、被告の弁護団は「予定された公判前整理手続きの期日を開くことができなかったことは弁護団としても遺憾で、すみやかに次回期日が指定されることを奈良地裁に対して希望する。弁護団としては、平穏な状況下で手続きが進むことを強く望んでいる」とコメントしています。

【署名を集めたグループ代表は】
山上被告の刑を軽くするよう求め、署名を集めてきたグループの代表は、NHKの取材に対し、自分が段ボール箱を送ったと話しています。
代表によりますと、箱の中には、グループが去年7月からインターネット上で集めた、被告の刑を軽くするよう求める1万3000人余りの署名を印刷したものを入れたといいます。
12日に予定されていた公判前整理手続きに合わせて、12日午前に奈良地方裁判所に到着するように時間を指定したうえで、宅配便で発送したということです。
代表は、「少しでも多くの関係者の目に署名が触れてほしいと思い送った。分厚く、雨も降っていたため、ダンボールに入れてガムテープで周囲を覆った。司法を妨害する意図はまったくなかった。関係者の皆様に迷惑をかけてしまい本当に申し訳ありません」と話しています。