奈良県 山下知事 「予算執行査定」の結果 6月12日に公表

奈良県の山下知事は、26日、就任後初めての定例記者会見に臨みました。
このなかで、就任直後から進めていた「予算執行査定」の結果を、6月12日に公表することを明らかにしました。

5月に就任した山下知事は、五條市に計画されている大規模広域防災拠点の整備や、リニア中央新幹線の新しい駅と関西国際空港を結ぶ新たな鉄道路線の整備など、今年度予算に計上された21項目について、執行のいったん停止を指示し、現地を視察するなどの査定を進めています。
就任後初めての定例記者会見に臨んだ山下知事は、査定の詳細な結果を6月12日に公表することを明らかにしました。
これについて、山下知事は、「ことばを選ばずに言うと、前知事の思いつきで行われた事業が本当に多いと感じた。ソフト事業は、執行するもののも結構あるが、ハード事業は、執行しないもののほうが多い。実施するにしても規模を縮小するなど、内容を見直す」と、査定を進めている現時点での感想を述べました。
そのうえで、予算を執行しないことで、停止になる事業が出てくることについては、「事業を見直すタイミングは、就任直後しかない。中止になった事業の関係者は、落胆するかもしれないが、選挙で知事を選ぶというしくみがある以上、致し方ないことだ」と述べ、理解を求めました。

【関西広域連合への全面参加“幅広い分野でメリット”】
防災や医療、産業振興など、7つの分野の広域的な課題の解決に連携して取り組むことを目的に結成された関西広域連合について、奈良県は、現在、広域防災と広域観光・文化・スポーツ振興の2つの分野に限って、参加しています。
山下知事は、25日、鳥取市で開かれた関西広域連合の委員会で、選挙での公約通り「全面参加」する意向を表明しました。
これについて、山下知事は、「企業誘致については、有益な情報が得られると思うし、災害時の医療連携も奈良に大きな意味がある。府県境を超えて発生する鳥獣被害対策のほか、職員が広域研修に参加し、他府県の先進的な取り組みにふれることで、職員のやる気が向上する効果にも期待している」となどと述べ、「全面参加」によって幅広い分野でメリットが得られると強調しました。
ただ、「全面参加」する場合は、知事が県議会に説明して「県としての意向」を固めたうえで、関西広域連合の連合長に規約の改正を正式に依頼するなどの段階を踏む必要があります。
今後の手続きについて、山下知事は、「準備が必要なため、6月議会への関係議案の提出は見送る」と述べた上で、できるだけ早く作業を進める考えを示しました。

【県職員働き方改革で会議設置へ】
県職員の「働き方」を改善しようと、奈良県は職場環境の改革などを検討する会議を新たに立ち上げることになりました。
地方公務員の健康状況などを調べている団体の調査によりますと、メンタルヘルスの不調で30日以上休んでいる都道府県職員の割合は、平成30年度から令和2年度まで奈良県が全国で最も高くなっています。
長時間労働によるうつ病が原因で奈良県職員が自殺するという問題も発生していることから、奈良県は、県職員の職場環境の改革などを検討する会議を新たに立ち上げることになりました。
具体的な進め方や協議内容は今後、決めていくということで、来月(6月)、初会合を開くということです。
山下知事は、「職員がやりがいをもって働くことが県の発展につながることは明らかだ。不退転の覚悟で取り組み、スピード感を持って結果を出したい」と述べました。