奈良県 山下知事 関西広域連合「全面参加」への意向表明

関西圏の自治体でつくる関西広域連合の委員会に、25日、奈良県の山下知事が初めて出席し、「関西全体を盛り上げるために奈良県も全力で奮闘させていただきたい」などと述べ、「全面参加」への意向を表明しました。

関西広域連合は防災や医療、産業振興など、7つの分野の広域的な課題の解決に連携して取り組むことを目的に、平成22年に結成された組織で現在、関西圏の8つの府県と4つの政令指定都市が参加しています。
奈良県は、平成27年から、▼広域防災と、▼広域観光・文化・スポーツ振興の2つの分野に限って参加していましたが、今月(5月)就任した山下知事は「全面参加」を選挙の公約に掲げ、就任式などでもその意向を明らかにしていました。
25日は、月に一度開かれる関西広域連合の委員会が、鳥取市で開かれ、就任後、初めて参加した山下知事は、「奈良は京都と並んで観光や文化の点では魅力のある県だと思う。そういったものを生かし、関西全体を盛り上げるために微力ながら全力で奮闘させていただきたい」などと述べ、「全面参加」への意向を表明しました。
委員会後の記者会見で山下知事は、「さまざまな行政課題について奈良県単独で取り組むよりも、広域で取り組んだほうが効率的な分野がたくさんある」などと話し、改めて「全面参加」の意義を強調しました。
関西広域連合の事務局や奈良県によりますと、今後は、知事が県議会にも説明して、県としての意向を固めたうえで、再度、連合長に「全面参加」に向けて規約の改正を正式に依頼する必要などがあるということです。

【「全面参加」への道のり】
奈良県は現在、関西広域連合に「部分参加」していますが、「全面参加」に変更するためには、大きく6つの段階を踏む必要があります。

1《議会経て県の意向に》
25日、山下知事は関西広域連合の委員会で「全面参加」への意向を表明しましたが、いまの段階はあくまで「知事の意向」。
今後、奈良県議会に説明し、「県としての意向」を固める必要があります。

2《知事が依頼》
それが済めば、知事は関西広域連合の連合長に、規約の改正を正式に依頼します。

3《依頼を踏まえて・・・》
関西広域連合側は、月に一度開く委員会で、奈良県の「全面参加」を盛り込んだ規約の改正案を確認します。

4《参加自治体も》
そのうえで、関西広域連合に参加している府県や政令指定都市のそれぞれの議会も、改正案などを審議・議決します。

5《総務相に申請》
それぞれの議会で議決されると、関西広域連合の連合長は、総務大臣に改正した規約の許可を申請します。

6《総務相が認めれば》
許可が下りれば、奈良県の「全面参加」が晴れて認められるということです。

【関西広域連合 どんな組織】
関西広域連合は、防災や産業振興など、7つの分野の広域的な行政課題などに連携して取り組もうと平成22年に結成されました。
結成当初、参加していたのは、大阪、兵庫、徳島などの2府5県で、奈良県は荒井元知事が「メリットがない」として参加していませんでした。
結成から2年後、平成24年には、大阪市や京都市など4つの政令指定都市も参加します。
奈良県はこの時点でも参加していませんでしたが、その3年後(平成27年)に、▼広域防災と、▼広域観光・文化・スポーツ振興の2つの分野に限り参加を表明しました。
現在、参加しているのは、2府6県と4つの政令指定都市で、大阪・関西万博やドクターヘリを活用した医療体制の充実など、広域的な課題について話し合いをすすめています。