「ガストロノミーツーリズム」フードロス問題などテーマに議論
奈良市で始まった食や環境をテーマにした国際会議「ガストロノミーツーリズム世界フォーラム」。13日は、「持続可能な食品」をテーマにしたセッションが行われ、参加者たちが食品の廃棄、いわゆるフードロスの問題などについて話し合いました。
このセッションは、ホテルなど観光の現場で廃棄される食品をどのように減らし、持続可能な管理を進めていくかなどについて話し合うもので、日本やイタリア、タイ、インドなどの専門家8人が参加しました。
この中で、大手航空会社や海外ブランドなどが経営するレストランに傷がついていたり、不ぞろいだったりして販売が難しい野菜などを使ってもらう取り組みを行っている企業、「フードロスバンク」の山田早輝子
社長は、「企業と地域をつなぐこうした活動が廃棄する食品を減らすことにつながっている」と述べました。
参加者たちは、廃棄される食品を減らすためにどこで無駄が発生しているか細かく理解することや、食品をシェアすることなどそれぞれが実践している取り組みを紹介していました。
【フードロス巡る現状は】
食品の廃棄、いわゆるフードロスは、本来は食べることができるのに、生産されてから消費されるまでの間に食べ物が日常的に捨てられている問題で、国連が定めるSDGs=持続可能な開発目標の達成に向けた課題のひとつになっています。
県によりますと、令和元年度に国内で廃棄された食料はおよそ570万トンで、このうち奈良県はおよそ5.2万トンを占めました。
奈良県の年間廃棄量は県民1人あたりでみると、毎日およそ110グラムで、県によりますと、これは1人が毎日お茶碗ほぼ1杯分のごはんを捨てているのに相当するということです。
県内で廃棄された食品の廃棄元を見てみますと、▼家庭がおよそ2.8トンと55%を占め、▼食品製造や飲食店など、事業者がおよそ2.4トンで45%となっています。
奈良県では家庭から廃棄される食品が過半数を占めていることから、各家庭での対策が効果的な削減につながるとして、買い物では食材を使うだけ買うようにするほか、調理の際には残っている食材から使い、食べきれる量だけ作るようにすることなどを呼びかけています。
一方、県がおととし実施したアンケート調査では、食品の廃棄問題について知っているか聞く質問があり、回答があったおよそ2800人のうち、「よく知っている」と答えた人は全体の36%にとどまりました。
県は、再来年(令和6年)度までにこの数字を90%にする目標を掲げているほか、県内の一部のスーパーやコンビニエンスストアの陳列棚に並べられた商品を手前から買う、いわゆる「てまえどり」を呼びかけるなどして廃棄量の削減にもつなげたいとしています。