高松塚古墳 壁画に使われた一部の絵の具を特定 文化庁発表
文化庁は、明日香村の高松塚古墳の壁画に使われた一部の絵の具が科学分析によって特定できたと発表しました。
これは28日、東京で開かれた壁画の保存・活用を審議する有識者会議で文化庁が発表しました。
文化庁はことし7月、高松塚古墳の極彩色の壁画うち、「飛鳥美人」として知られる西壁の女子群像に使われた絵の具についてX線回折という分析手法で調べました。
その結果、中央の女性の唇などの赤色は、水銀朱を使った「辰砂(しんしゃ)」と呼ばれる絵の具であることが特定できました。
また、衣装の緑色はマラカイトと呼ばれる鉱物を使った緑青(ろくしょう)、青色はアズライトを使った群青(ぐんじょう)という絵の具だったことが確認できたということです。
これらの絵の具は、これまでは別の分析手法によって、「推定」されていましたが、今回の分析で鉱物の種類も含めて、それぞれ特定されたかたちです。
文化庁古墳壁画室は「これまで状況証拠による推定だったが、絵の具の種類を厳密に特定できたのは壁画の保存を考えるうえで大きな一歩だ」と話しています。
高松塚古墳の壁画の絵の具をめぐっては、東壁の青龍(せいりゅう)に使われた青色の顔料がアフガニスタンなどで採れる宝石の「ラピスラズリ」を砕いたものだった可能性を示す研究もあり、文化庁は今後、今回の分析手法で詳しく調べることにしています。