認知症家族の介護経験者「地域が自然に受け入れる環境が大切」
認知症の家族の介護を経験した女性は、認知症の人を特別扱いするのではなく、地域が自然なかたちで受け入れる環境を整えることが大切だと指摘します。
認知症の人やその家族などでつくる「認知症の人と家族の会」奈良県支部の藏野美枝子さん(69)は、いまから25年ほど前、夫の母親のみそめさんが認知症を発症し、介護にあたりました。
みそめさんは、運動する目的で1日に5、6回ほど、自宅の周辺をほぼ決まったルートで歩き回っていました。
時々ルートを外れて帰ってこないことがあり、そのたびに藏野さんは、不安を抱えながら、みそめさんに持たせていたGPSの発信器を頼りにあたりを探し回ったといいます。
みそめさんは、近所の高齢者の集まりに入って活動していましたが、症状によるトラブルがきっかけで孤立するようになり、それが「はいかい」につながっていったのではないかと藏野さんは考えています。
その一方、当事者の家族が周囲に迷惑をかけていると強く感じてしまうと、本人を外出させなくなってしまうことがあるということで、藏野さんは近所の人が認知症の人を特別扱いをしたり、行動について家族に細かく連絡したりせず、ふだん通りにあいさつするなどして見守ってほしいとしています。
藏野さんは、「ふだんからの地域の方々の声かけがすごく必要です。認知症であったとしても自然に接して欲しい」と話していました。