奈良出身の書家 故今井凌雪さん1970年大阪万博作品展示へ

1970年の大阪万博で展示されていた奈良市出身の書家の作品が、ことし7月から全国各地で展示されることになりました。

展示されるのは、縦およそ5メートル、横およそ2メートル50センチの書の作品です。
黒澤明監督の映画「乱」の題字などを手がけた奈良市出身の書家、故・今井凌雪さんが書いたもので1970年の大阪万博では、会場の「万国博ホール」の入り口近くに展示されていました。
書かれているのは、古代・中国の詩集「詩経」におさめられた詩の一節で、君子が、客を招いて食事や酒をふるまってもてなす場面が記されています。
通常の漢詩と異なり、左から右に読むように書かれていて、門下生らは「万博には世界各国から多くの人が訪れることから、西洋の文章の書き方を反映させたのではないか」と推測しています。
今井さんが設立した書道団体の森田彦七理事長は「どうやって書いたのかというくらいの迫力で、万博に来る人へのもてなしの心がよく伝わる作品だ」と話していました。
作品は、ことし7月以降、東京、徳島、奈良で順に展示されることになっています。

【書家の今井凌雪さんとは】。
書家の故・今井凌雪さんは、大正11年、1922年に奈良市で生まれました。
現在の天理大学や立命館大学で学び、早くから日展などで受賞を重ねました。
後進の育成にも取り組み、書道団体をみずから立ち上げて多くの門下生の指導に当たったほか、筑波大学の教授なども歴任し、昭和61年度、1986年度には日本芸術院賞・恩賜賞にも選ばれました。
活躍の場は幅広く、▼1985年に公開された黒澤明監督の映画「乱」の題字を手がけたほか、▼奈良市の平城宮跡に復元された「朱雀門」のへん額、▼東京・霞が関の文部科学省の看板の文字も今井さんが揮ごうしたものです。
NHKでは、長年、書道の番組の講師役を務め、お茶の間にも広く知られる存在となりました。
今井さんは、2011年に亡くなりましたが、生誕100年となることし、今井さんの功績を多くの人に知ってもらいたいと、門下生たちは記念の展覧会の開催を企画しました。
門下生のひとりで、今井さんが設立した書道団体の理事長を務める森田彦七さんは「今井先生は書には非常に厳しかったが、書を離れると、門下生たちにとっては『おやじ』みたいな人でした。展覧会を通して、今井先生が長年取り組んだ生涯の仕事を、時代ごとに見てもらいたい」と話していました。