金魚ボックス 美術家の訴え棄却

金魚の産地として知られる大和郡山市の商店街に設置されていた「金魚が泳ぐ電話ボックス」について、福島県の美術家が、自分の作品をまねたもので著作権を侵害されたと訴えていた裁判で、奈良地方裁判所は「同一性を認めることはできない」などとして訴えを退けました。

この裁判は、福島県いわき市の美術家、山本伸樹さんが起こしたものです。
山本さんは、金魚の産地として知られる大和郡山市の柳町商店街に置かれていた、金魚が泳ぐ水槽に見立てた電話ボックスについて、山本さんが20年前に作った作品をまねたもので著作権を侵害されたと主張して、商店街の組合などに対し330万円の損害賠償などを求めていました。
商店街はこの電話ボックスを5年前に設置していて、「インスタ映えする」などと話題になり、地域の観光名所の1つとなっていましたが、山本さんからの指摘のあと、去年4月に撤去していました。
11日の判決で、奈良地方裁判所の島岡大雄裁判長は、電話ボックスの中に金魚が泳ぐという発想について「アイデアにほかならず、表現ではないため、著作権法上の保護の対象にならない」と指摘したうえで、「電話ボックスやその内部に設置された電話の色や形状などが異なっていて同一性を認めることはできない」などとして原告の訴えを退けました。

【原告側は】
判決のあと、山本さんは会見を開き、「私の望んでいた判決とは違ったもので非常に落胆しています。これをきっかけに日本の著作権法と表現の現場の現状が明らかにかい離しているということが社会に伝わってほしい」と話し、控訴する方針を示しました。
原告の代理人は「山本さんの作品を1つの表現として捉えないと現代アートの著作物性が非常に限られたものになってしまい、芸術家が法的な保護を受ける範囲が極めて狭くなってしまう問題がある」と話していました。

【被告側は】
被告の代理人は「著作権法の本質を踏まえた奥の深い、妥当な判決だったと思う」とコメントしました。
また、代理人によると電話ボックスの再設置については現時点では白紙だということです。

【大和郡山市長は】
大和郡山市の上田清市長は、「商店街及び関係者の主張が司法の場で認められたことに安どしています。市としては、今後も商店街の活性化のため協力していきます」とコメントしています。