”頂き女子りりちゃん”に懲役9年罰金800万円の判決

SNS上で「頂き女子」を自称し男性に恋愛感情を抱かせて1億5000万円余りをだまし取った罪などに問われた25歳の被告に対し、名古屋地方裁判所は「男性心理を手玉に取り、好意につけ込む誠にこうかつな犯行で、ホストの売り上げに貢献したいという動機は身勝手だ」として懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡しました。

SNS上で「頂き女子“りりちゃん”」を自称していた渡邊真衣被告(25)は男性3人に恋愛感情を抱かせた上、金に困っているなどとうそを言っておよそ1億5500万円をだまし取った詐欺の罪や男性をだます「恋愛マニュアル」を販売して詐欺行為を手助けした罪などに問われました。
22日の判決で名古屋地方裁判所の大村陽一裁判長は「被告は言葉巧みに好意があるよう装い時には一人二役を演じるなどして金銭をだまし取っていた。男性心理を手玉に取り、その好意につけ込む誠にこうかつな犯行だ。被害者のなかには生命保険を解約してまで金銭を工面し、ほぼ全財産をだまし取られた人もいて生じた結果も重大だ」と指摘しました。
そして、「マニュアルを販売し、男性のろうらく方法を助言するなど主体的に同種の犯罪を助長しているのも悪質だ。意中のホストらの売り上げに貢献したいという動機は誠に身勝手で、酌むべき余地はなく刑事責任は相当重い」として懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡しました。
渡邊被告は判決の言い渡しを聞いている際に過呼吸のような症状が見られたため、数分間、中断される場面もありました。
裁判所によりますと用意された81の一般傍聴席を求めて、313人が長い列を作りました。
前回と今回の裁判を傍聴したという愛知県内の女性は「ネットで見たキャラクターの印象が大きく、裁判でその姿を見てギャップを感じました。生い立ちなどを聞くといろいろあったんだなと思い、どこかほっとけない感じがしました。女性から見てもひきつけられるものがあって気になってしまう存在で、そういう部分もあって傍聴に来ました」と話しました。
その上で、「ただ、犯した罪は悪いことなので反省して普通に生活してほしいです」と話していました。
名古屋市の40代の男性は「最前列で被告の様子を見ていましたが、終始、足や手を動かしていて、落ち着かない様子でした。被害者の方もある程度、年齢を重ねて結婚したいという願望もあったのかなと思います。懲役9年という判決は少し重いですが、被害者のことを考えると妥当かなと感じました」と話していました。