平和宣言最終案 世界情勢の危機感表現でイスラエル国名を削除

長崎原爆の日の平和祈念式典で読み上げられる平和宣言の起草委員会の最後の会合が、6日開かれ、市が最終案を示しました。
素案では、イスラエルを名指しして核をめぐる世界の情勢に危機感を表していましたが、最終案では国名が削除され「中東における武力攻撃」と表現を改めています。

平和祈念式典で長崎市長が読み上げる平和宣言については、被爆者や有識者などでつくる委員会の意見を踏まえて作成されていて、6日開かれた起草委員会の最後の会合では長崎市から最終案が示されました。

最終案は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などに触れ、核兵器不使用の規範が失われる可能性に危機感を示しています。

一方で、素案では、イスラエルを名指しして核兵器の使用をちゅうちょしない姿勢が示され続けているなどとしていましたが、最終案ではイスラエルの国名が削除され「中東における武力攻撃」と表現が改められています。

また、核戦力の増強や核開発を勧めているとして言及されていた中国と北朝鮮の国名も削除されました。

これについて長崎市の鈴木市長は「一部の国を列挙するとバランスが取れなかったり、訴えたいことがかすんだりするという意見が出ていた。いまの厳しい国際情勢をきちんと表現できるような文案にした」と説明しました。

長崎市は、今後最終的な宣言の文章を完成させ、来月の始めごろまでに骨子を発表することにしています。