佐世保市と地図情報会社 空き家の位置特定するシステム運用へ

人口減少に伴って空き家の増加が懸念される中、佐世保市と北九州市の地図情報会社が空き家の位置を素早く特定するシステムの運用を来年度から開始する予定です。

佐世保市と北九州市に本社を置く地図情報会社「ゼンリン」は空き家を迅速に見つけることを目的とした「空き家推定ツール」の開発を共同で進めています。

このツールは、地図情報会社が蓄積してきた建物の築年数や構造、徒歩での調査などで把握した空き家の位置情報と佐世保市が持つ、使われなくなった水道の情報や市民の相談などで得られた空き家の情報を組み合わせることで、地図上に空き家の可能性が高い建物を表示します。

そのうえで、老朽化する前の活用可能な空き家については所有者の同意を得たうえで民間の事業者に情報提供し、不動産市場への流通を促すことを検討しています。

佐世保市によりますと2018年の時点で、市内の空き家は住宅の16.2%を占める2万件を超え、このうち半数が放置されているとみられるということです。

佐世保市と地図情報会社は来年度からこのシステムの運用を開始する予定です。

佐世保市は「老朽化する前の空き家をいかに早く把握するかが重要だ。個人情報の取り扱いに十分注意しつつ空き家の増加を抑制していきたい」としています。

【佐世保市の空き家問題】
佐世保市によりますと、空き家は長い間放置されると倒壊の危険性が高まるほか、治安や景観の悪化につながることもあることから市内でも大きな課題となっています。

一方、放置されている空き家は市内でも増加傾向にあり、背景には老朽化した空き家の解体には多額の費用がかかる場合があることや、空き家の所有者が亡くなった後、相続によって権利関係が複雑になり、放置されてしまうケースがあることなどが挙げられるということです。

市はこれまで市の職員や委託業者が歩いて回ったり、町内会に聞き取りをしたりして1軒ずつ空き家の状況を調べてきました。

市はツールの開発により調査にかかっていた費用や負担を減らすとともに老朽化する前の活用可能な空き家を早期に発見し、不動産市場への流通を促すなどして空き家の増加抑制につなげていきたいとしてます。