「黒い雨」めぐり厚生労働省が長崎の被爆体験記を来月から調査

広島への原爆投下直後に降ったいわゆる「黒い雨」をめぐり、長崎でも被爆者の認定につなげようと、県と市が被爆体験記の分析を国に求めたことに対し、厚生労働省が来月から始めることを決めました。

広島への原爆投下直後に降ったいわゆる「黒い雨」をめぐり、国は、広島では「被爆地域」の外にいた人でも「黒い雨」を浴びた可能性が否定できない場合などは被爆者と認定する新たな基準を設けた一方、長崎については、今も認定していません。

国は客観的な記録がないなどとして長崎で「黒い雨」が降ったことを否定する見解を示しているのに対し、長崎県と市は、国が定める地域の外にいた被爆体験者の被爆者認定につなげようと、国に対して、客観的な証拠を示すために改めて調査するよう求めていました。

この要望を受けて厚生労働省は、長崎市にある「国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館」に所蔵されている被爆体験記を来月中旬から調査することを決めました。

調査の対象となるのは、祈念館に所蔵されているすべての被爆体験記およそ12万件で、この中から黒い雨や灰についての記述を探し、雨や灰が降った地域や時期などを分析するということです。

厚生労働省によりますと、1年以内に調査を終えることを目指しているということです。