風力発電の水素を貯蔵し船を動かす 佐世保市で実証実験始まる

風力による発電で得た水素を液体状の物質に変えて貯蔵し、風がないときでも再び水素に変えて船を動かす実証実験が佐世保市で始まりました。

この実証実験は海運大手の商船三井が佐世保市の企業など10の組織と連携して温室効果ガスを一切出さない船をつくるためのプロジェクトとして行われたもので、佐世保市の大村湾で始まりました。

実証実験に使われた船は、帆を備えた全長12メートルのヨットで、通常のヨットと同じように風の力で動くことができます。

さらに、船には札幌市のメーカーが開発・製造した特殊な装置が搭載され、風力から得られた電力を使って水から得た水素を「メチルシクロヘキサン」と呼ばれる液体状の物質にして貯蔵できるようになっています。

船は貯蔵した物質から再び水素を取り出して風がない時でも動く仕組みになっていて、実験を行った企業などによりますと、「メチルシクロヘキサン」から取り出した水素を利用して動く船は世界で初めてだということです。

商船三井の山口誠技術革新本部長は「プロジェクトは地元の企業も一緒になって夢のゼロエミッションの船を作り上げていくものだ。世界的には環境に関して年を追うごとに温室効果ガスを削減しようという動きが強くなっていて呼応する企業が増えているので、プロジェクトが環境改善に応えるひとつの提案になれば嬉しい」と話していました。