川棚町の石木ダム建設 県が強制的に収用した土地で工事開始
川棚町で建設が進む石木ダムをめぐって、長崎県が、法律に基づき地元の住民から強制的に収用した土地で、工事を始めていたことが明らかになりました。
県によりますと、収用した土地で工事が行われるのは初めてだということです。
長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、県の収用委員会がダム建設に必要なすべての用地を強制的に収用できるようにする裁決を下し、4年前、用地の所有権が地権者から国に移り、すでに家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きができるようになっています。
こうした中、長崎県は先月20日から、収用した土地で、ダム本体の一部の掘削工事を開始したことを明らかにしました。
県によりますと、これまでは任意で取得した土地で工事が行われていて、地元の住民から収用した土地で工事が行われるのは初めてだということです。
工事が行われている川棚町の建設現場では、雨が降る中、工事を行わせないよう住民などが重機の周りに座り込む様子が見られました。
住民のひとり、岩下すみ子さんは「これまでの強制測量、強制収用と同様に今回もまた強制的なやり方で、『これが公共事業なのか』と言いたい。権力をかざすのではなく、住民側としっかり話し合いをしてほしい。私たちの望みはここで暮らしたい、この自然を残したい、ただそれだけです」と話していました。