幼稚園で豆の代わりに 新聞紙のボールと卵ボーロ 長崎
長崎市の幼稚園では園児がことし初めて豆の代わりに新聞紙を丸めたボールを投げたほか、豆の代わりに卵ボーロやおかきを食べたりする対応をとっています。
長崎市上野町にある長崎信愛幼稚園では園児がホールに集まり、節分の伝統について学んだあと、2匹の鬼がうなり声を上げて登場しました。
これに対し、園児は豆の代わりとしてあらかじめ用意した新聞紙を丸めたボールを元気よく鬼に投げつけ、追い払っていました。
鬼退治が成功すると福をもたらす「福の神」が登場し、園児は節分の歌を歌いました。
豆まきのあと、園児は豆の代わりに配れた卵ボーロやおかきを食べました。
豆をのどに詰まらせないとともに食物アレルギーへの対応です。
年長の男の子は「クラスのみんなと一緒に新聞紙で作った豆を投げました。鬼退治をしたので、幸せが来てほしいです」と話していました。
園の主幹教諭の大橋小夜さんは「大豆やピーナッツでは誤って飲み込み喉に詰まったり、アレルギーが起きたりすることがあるので他のものを使っています。鬼退治は泣いてしまう子もいますが、最後は楽しんでもらえたらいいと思います」と話していました。
島原市の認定こども園では豆の代わりにお菓子のグミを使って園児が豆まきを行いました。
島原市のひかわ第一幼稚園では10年前から節分の豆まきで食物アレルギー対策としてお菓子を豆の代用としていてことしはグミを用意しました。
3日は3歳から5歳までの園児92人が参加し、太鼓の音とともに鬼が現れると、園児たちは、「鬼は外」のかけ声を上げながら鬼にグミを投げつけていました。
「鬼がこわい」と叫びながら逃げ回る子どもいましたが、最後は力をあわせて鬼退治に成功すると、園児たちは投げたグミを拾い集めておいしそうに食べていました。
参加した園児は「鬼こわかったけどやっつけた」とか「グミがおいしい」と話していました。
ひかわ第一幼稚園の佐藤智恵副園長は、「食物アレルギーの園児に配慮して豆をまくのはやめました。衛生面を考え一つ一つ包装してある柔らかいグミにしています。安全に楽しく伝統行事を学んでもらえるよう試行錯誤しながら取り組んでいます」と話していました。
日本文化を研究する国立歴史民俗博物館の新谷尚紀名誉教授は幼稚園などで豆をのどにつまらせない対策や食物アレルギー対策として豆以外を代用する取り組みが広がりつつあることについて、「文化は常に変化するもので、幼稚園でのそういった取り組みは新しくおもしろい変化だと思います。節分と言えば豆ですが、投げるものをピーナッツやお菓子にしてでも、小さな子どもたちが節分の行事を続けることが大事です」と話しました。
そのうえで「節分は1年をリセットする行事で前の年の罪や汚れ、災いや病気などあらゆるものをきれいにするねらいがあります。節分の鬼は疫病の鬼で、疫病やちみもうりょうや邪霊をはらうためには、霊力がある豆や米が効果的とされています」と話し、形は変わっても節分の意義や考え方はしっかりと語り継いでいってほしいとの考えを示しました。