県の観光支援事業を悪用 旅行支援金詐取か 旅行会社役員逮捕

コロナ禍に県が行った観光支援事業に、およそ200人分の架空の旅行を申請して、支援金100万円余りをだまし取ったとして、上田市の旅行会社の役員が詐欺の疑いで逮捕されました。
捜査関係者によりますと、逮捕後の調べに対し「人に頼まれてやった」という趣旨の供述をしているということで、警察は余罪も含め捜査しています。

24日逮捕されたのは、上田市の旅行会社「国際ホリディ」の役員、岸田直博容疑者(74)です。
警察によりますと、岸田容疑者は3年前の12月、コロナ禍で需要が落ち込んだ観光業者に対して県が支援金の給付などを行う「信州割SPECIAL事業」を悪用し、209人が日帰り旅行を行ったという、うその申請を行い、支援金102万7500円をだまし取った詐欺の疑いが持たれています。
捜査関係者によりますと、調べに対し容疑を否認する一方、「人に頼まれてやった」という趣旨の供述をしているということで、警察は余罪も含め捜査を進めています。

今回の事件で悪用された「信州割SPECIAL事業」は、コロナ禍で需要が落ち込んだ観光業界を支えるため、旅行業者への支援金の給付や、観光客へのクーポンの配布などを行う事業で、3年前の6月から去年6月までの2年間実施されました。
「国際ホリディ」をめぐっては、近隣の店舗から「同じ人が何度も観光クーポンを利用している」という情報提供があり、県が調べたところ、うその旅行を申請してあわせて9900万円余りを不正に受給していたことが分かったということで、県が返還請求を行うとともに刑事告発していました。
「信州割SPECIAL事業」では、支援金の不正受給やクーポンの不正利用が今回も含めて5件確認されているということで、県は「不正は非常に遺憾で、判明した場合は厳正に対処する」としています。