「リニア中央新幹線」大鹿村工事は3〜4年遅れる見通し

開業時期が延期された「リニア中央新幹線」に関連する大鹿村での今後の工事の見通しについて住民説明会が、4日夜開かれました。
JR東海は、村内で行われている2つのトンネル工事の完成時期について、当初の計画より3年から4年遅れる見通しを明らかにしました。

この住民説明会は、JR東海が、「リニア中央新幹線」の2027年の開業を断念したことを踏まえて開いたもので、大鹿村の村民およそ30人が参加しました。
この中でJRの担当者は、村内で工事が行われている大鹿村から山梨につながる「南アルプストンネル」の長野工区の完成時期について、再来年11月末としていた当初の予定を4年ほど遅らせ、「2030年夏ごろ」になると説明しました。
また、大鹿村と豊丘村にまたがる「伊那山地トンネル」の青木川工区の完成時期についても再来年9月末から3年ほど遅らせ、「2029年夏ごろ」になると明らかにしました。
そのうえで遅れる理由については想定よりも地質がもろく、慎重に工事を行う必要があるためだと説明しました。
住民説明会のあと記者団の取材に応じたJR東海の古谷佳久担当部長は「地元の声をしっかりと受け止めコミュニケーションを図りながら、工事を進めていきたい」と話していました。
一方、古谷担当部長は、再来年3月までの完成を目指している飯田市のリニア駅について、「現在契約している工期内で納めることは、非常に難しい状況だ」と述べたうえで、来月、飯田市で行う予定の住民説明会の際に具体的な完成時期について示す考えを明らかにしました。
説明会に参加した70代の男性は「工期が延びるということだが、トンネル工事は事故のないように進めてほしい。新たな静岡県知事のもとで工事がうまく進むのか心配ではあるが、しっかり工事を進めてもらいたい」と話していました。
一方、40代の男性は「トンネルの工事はこれまでもトラブル続きだったので、今後もトラブルが続くのではないかと心配だ。ダンプカーの行き来も多く、いつまでこんな生活が続くのかと心配になる」と話していました。
また、大鹿村で旅館を経営している50代の男性は「リニア開業に向けた準備をしたくても、見通しどおりに開通するかも分からない状況だ。JR東海には地域振興の面にも目を向けてほしい」と話していました。