「松本サリン事件」当時の報道に携わった男性が講演 松本

松本市の住宅街で猛毒のサリンがまかれ、8人が死亡した「松本サリン事件」から今月27日で30年です。
これを前に当時「信越放送」で事件報道に携わった男性が松本市で講演しました。

平成6年6月27日の夜、オウム真理教が起こした松本サリン事件では、松本市の住宅街にある裁判官の官舎を狙って猛毒のサリンがまかれ、8人が死亡し、140人以上が被害を受けました。
事件から30年となるのを前に、当時「信越放送」で取材の指揮などをする「デスク」として報道に携わった召田政春さん(73)が松本市で講演しました。
事件では当初、被害者で第1通報者の河野義行さんの犯行への関与が疑われ、河野さんを犯人視する報道が相次ぎました。
当時について召田さんは「番組で捜査や被害の状況を客観的に伝えたつもりだが、河野さんについては『事件の鍵を握る人物』として注目していた」などと語りました。
ただ、警察への取材を通して、犯行が、オウム真理教によるものだと分かってきたため、河野さんに謝罪したことを振り返りました。
会場には市民などおよそ90人が集まり、事件当時の話に耳を傾けていました。
講演のあと召田さんは、「配慮して報道したつもりだが、河野さんが容疑者扱いされることにつながってしまった。メディアには、さまざまな可能性を念頭に冷静にニュースを伝えてもらいたい」と話していました。