しなの鉄道 来年度中に「Suica」導入の方針固める

長野県の第三セクター「しなの鉄道」は、来年度中にすべての駅で交通系ICカード「Suica」を導入する方針を固めました。
来年春ごろからは、JR東日本が県内で「Suica」を利用できる駅を拡大する予定で、乗り入れているしなの鉄道でも導入することで利用客の増加につなげる狙いがあります。

北陸新幹線の開業に伴い全国初の並行在来線として開業した「しなの鉄道」は、JR東日本が管轄する信越本線に乗り入れる形で、軽井沢駅から長野駅と、長野駅と妙高高原駅とを結ぶ2つの路線を運行しています。
関係者によりますと、来年春ごろからJR東日本が「Suica」を利用できる駅を拡大することに伴い、「しなの鉄道」でも来年度中にすべての駅で「Suica」を導入する方針を固めたことが分かりました。
「しなの鉄道」は、コストがかかるため交通系ICカードを導入してきませんでしたが、沿線の人口が減少するなか、利便性を向上することでインバウンドや首都圏からの利用者の増加につなげる狙いです。
導入に必要な費用およそ16億円は会社が負担するほか、県と沿線の11の市と町、それに国の補助金などを活用することを見込んでいるということです。
しなの鉄道は、「導入によって利用者の増加を図ることで、中長期的な財務状況の改善につなげ、より安定した経営を目指したい」としています。

しなの鉄道でも交通系ICカードの利用が可能になることについて、長野駅では、歓迎する声が聞かれました。
しなの鉄道を利用しているという飯綱町の70歳の男性は、「今はICカードが使えないため紙の切符を買わなければならない。便利になるので早く進めてほしい」と話していました。
アメリカから観光で訪れている66歳の女性は、「ICカードが使えるようになれば、券売機で苦労しなくて済むので外国人観光客にとって、いいことだと思う」と話していました。