円安 長野県内に大勢の外国人観光客

円安などを背景に、県内には大勢の外国人観光客が訪れています。

このうち、松本市の国宝・松本城には、1日もアメリカやヨーロッパなどから多くの観光客が見学に訪れていました。
アメリカ人の19歳の男性は「日本の食べ物は安くて質がいいです。今は円安ドル高なので、日本など海外に出てすてきな体験ができます」と話していました。
アメリカ人の64歳の男性は「プレゼント用にたくさん買い物をしました。円安なのでとてもうれしいです」と話していました。
松本市によりますと、新型コロナが5類に移行したことや円安などを背景に、去年4月からの1年間に松本城を訪れた外国人観光客は速報値で16万1800人余りで、過去最多となる見込みです。
また、今年度も円安などを背景に観光客は増えると見込んでいて、松本市松本城管理課の松岡由香課長は「円安で外国人観光客が、たくさん買い物や食事をしてくれるので街も活気があります。円安を追い風に観光業を発展させたいです」と話していました。
【食品の値上げに拍車かかる可能性】
歴史的な円安が続いた場合、食品の値上げにも拍車がかかる可能性があります。
民間の信用調査会社、「帝国データバンク」の調査によりますと、全国でことし1月から10月までに値上げされたり値上げが予定されたりしている食品は7400品目あまりとなっています。
歴史的な円安水準が長期化した場合、原材料を輸入する際のコストの増加が重なり、ことし秋以降、食品の値上げの品目数がさらに増える可能性もあるとしています。
スーパーで買い物していた飯綱町の30代の女性は「以前より物価が高くなっていると感じます。なるべく安いもので作れる料理を考えたり、もやしや豆腐を使って料理したりしています」と話していました。
長野市の60代の男性は「1つ1つの値上げ額は小さくても、買い物の金額を合算すると結構かさみます。『きょうも高いな』と実感しています」と話していました。
こうした中、中野市のスーパーなどが入る店舗では、買い物客を呼び込もうと、一部の商品限定でまとめ買いをした場合には割り引きする取り組みを進めています。
例えば、肉の大容量パックを買うと、100グラムあたりの価格が安くなるほか、お菓子などで、1つの商品を2つ以上買うと、1つあたりの価格が10%から20%程度安くなるとしています。
綿半ホームエイド中野店の久保田純希ストアーマネージャーは、「円安などで値上げが続く中だが、さらにコストの削減を進めることで価格に還元し、お客様の生活を豊かにするという店舗の目的に向かって頑張っていきたい」と話していました。
【現在より円高望ましい企業83.6%に】
県内企業からは、「現在より円高を望む」という声が広がっています。
長野経済研究所は、円相場が1ドル=145円程度で推移していたことし1月中旬までの1か月間に県内企業626社を対象に景況感に関するアンケート調査を行い、47%にあたる294社から回答を得ました。
この調査の中で、「現在より円高が望ましい」と回答した企業が83.6%に上ったほか、「現状が望ましい」が13.8%、「現在より円安が望ましい」が2.6%でした。
また、望ましい為替水準をみると、1ドル=110円台後半から130円程度と答えた企業が、およそ50%に上ったとしています。
この結果を踏まえ、長野経済研究所の小澤吉則調査部長は「企業側は160円台まで円安が進むということは、想像していなかったと思う。円安が進めば、輸入コストが上がる。企業は利益が厳しくなるし、私たちも日常生活で買うものの値段が上がってくるので消費の上でも大変苦しくなると思う」と述べました。
ただ、小澤調査部長は、日本とアメリカの金利差が大きく縮小することは考えにくいとして、「円安」傾向が続くと指摘しています。
小澤調査部長は「経済状況もなかなか変わらないので、すぐに“円高”に転換するという姿は見通せない」と述べました。