御嶽山噴火災害 教訓伝える「火山マイスター」新たに5人認定

死者・行方不明者63人を出した御嶽山の噴火災害からことしで10年です。
登山者らにこの噴火災害の教訓を伝える「火山マイスター」に、会社の同僚を亡くした男性など5人が新たに認定されました。

長野県と岐阜県にまたがる御嶽山は、およそ10年前の2014年9月27日に噴火し、死者58人、行方不明者5人にのぼる戦後最悪の火山災害となりました。
県は、2017年度から噴火災害の教訓を登山者や地元の住民らに伝える「御嶽山火山マイスター」を認定していて、ことしは、御嶽山のふもとにある木曽町で防災対策に取り組む町の職員など5人が新たに認定されました。
県の木曽合同庁舎で開かれた交付式では、マイスター運営委員会の山岡耕春委員長が認定書を手渡し、「ことしは噴火災害から10年の節目の年です。それぞれのスキルを生かしてマイスターとして活躍することを期待しています」と述べました。
このうち、神奈川県の会社員、里見智秀さんは、みずからも噴火に巻き込まれ、一緒に登山していた会社の同僚5人を亡くし、1人は今も行方不明となったままです。
里見さんは、認定書を受け取ったあと「噴火で被災した1人として役に立ちたいと思い、マイスターに応募しました。犠牲者が出ないための活動を行っていきたい」と述べました。
県によりますと、「御嶽山火山マイスター」は、今回認定された5人を加えて28人となりました。
今後、マイスターは、木曽町と王滝村にあるビジターセンターなどを拠点に、噴火災害の教訓を伝え、火山防災のための注意喚起などに取り組むとしています。
里見智秀さんは「私にとっての10年はあっという間でしたが、自分の経験を伝えることで、噴火による犠牲者が二度と出ないようにしていきたい」と話していました。