聴覚障害男性の歯科医師 松本歯科大学病院の研修医に

聴覚に障害がある男性が歯科医師の国家試験に合格し、1日から塩尻市の松本歯科大学病院で研修医としての生活を始めました。
大学によりますと、耳の聞こえない人が歯科医師になるのは全国でも初めてとみられます。

松本歯科大学病院で研修医としての生活を始めたのは、東京都出身の杉野凜太郎さん(28)です。
耳が聞こえない杉野さんは小・中・高校時代をろう学校で過ごしましたが、医師である父親の影響もあって2018年に松本歯科大学への入学を果たしました。
大学側は、講義の内容を文字に起こし、杉野さんのパソコンに送信するスタッフをそろえるなど全面的にサポートし、杉野さんは先月、歯科医師の国家試験に無事合格しました。
大学によりますと、耳の聞こえない人が歯科医師になるのは全国でも初めてとみられます。
研修初日の1日、杉野さんが手話通訳を介して、「耳の聞こえない歯科医師として、ロールモデルになれるよう頑張りたいです」などと自己紹介すると、研修医の仲間から拍手が送られました。
午後には、今後の配属先を決めるための各診療科のガイダンスに臨み、杉野さんは手話通訳を介して担当医の説明を受けていました。
杉野さんは「国家試験合格の知らせを聞いたときはほっとした気持ちが大きかったです。さまざまな理由からコミュニケーションがうまく取れない人に寄り添える歯科医師になりたいです」と意気込みを示していました。
大学によりますと、来月ごろから実際の患者を相手にした治療の研修などが行われる予定で、杉野さんも手話通訳と一緒に研修にのぞむことにしています。