北陸新幹線16日延伸開業 長野駅と福井駅は最短1時間31分

北陸新幹線は16日延伸開業し、福井県の敦賀駅まで直通でアクセスできるようになります。
これにより、長野駅と福井駅は最短1時間31分で結ばれ、これまでより35分ほど短縮されます。

北陸新幹線は、16日、石川県の金沢駅から福井県の敦賀駅までの区間が、新たに開業します。
福井県までの直通アクセスが可能になることで、これまでの北陸新幹線と在来線の特急を乗り継ぐ方法より利便性が向上するほか所要時間も短くなります。
長野駅と福井駅は最短で1時間31分とこれまでよりおよそ35分短縮され、長野駅と敦賀駅は最短で1時間48分とこれまでよりおよそ50分短縮されます。
また、長野を経由して東京と北陸を結ぶ「かがやき号」が、1日8往復から10往復に増えます。
「はくたか号」と「あさま号」の運行本数は変わりません。
今回の延伸では、北陸新幹線全体の利用客の増加も見込まれ、沿線の地域にも新たな経済効果が期待されます。

北陸新幹線の県内最北の駅がある飯山市では北陸や関西地方からのアクセス向上を観光客の誘致につなげていこうとしています。
北陸新幹線の飯山駅にある観光拠点施設では、延伸を前にした今月から満開の桜や菜の花など飯山の春の魅力をまとめたプロモーション動画をSNSで発信しています。
主なターゲットは、福井県と石川県の人たちで、新幹線を利用すれば山々に囲まれた美しい自然を日帰りでも楽しめるとPRしています。
信州いいやま観光局の浅野慧さんは「非常にアクセスがよくなるので、福井県などから飯山へ遊びに来てくれる人が増えることを期待したい」と話していました。
また、飯山駅から徒歩15分ほどの酒造会社では、去年の秋から本格的な酒造りを体験できる酒蔵ツアーを始めています。
参加者は蒸した米を手作業で冷ましたり、ふだんは限られた人しか入れない麹室で、蒸した米に種麹を振りかけたりできます。
この酒蔵会社では、体験型ツアーを通して、北陸地方だけでなくその先の関西方面からも多くの観光客を呼び込みたいと考えています。
酒造会社の田中隆太社長は「この地域はもともと関西からのスキー客が多いが、アクセスが非常によくなるのでさらなる経済効果が期待できる」と話していました。

長野郷土史研究会が北陸新幹線の延伸を前に長野と福井の歴史的なつながりについて調べたところ、長野市の善光寺の境内に福井県敦賀市とのつながりを示す石灯籠と石柱があわせて3基残っていることが分かりました。
研究会によりますと、本堂の近くの石灯籠には、「越前敦賀」という文字のほか、江戸時代の敦賀の商人およそ30人の名前も刻まれていたということです。
敦賀は江戸時代、日本海沿岸を代表する湊町として栄え、商人たちは商売繁盛などを願って定期的に善光寺参りをしていたとみられています。
また、本堂の北西には明治時代に建てられた3メートルほどの石碑があり、敦賀の人たちが毎年5月と10月の2回、善光寺に参詣していたことが刻まれています。
また、敦賀の人たちが善光寺を訪れた際に必ず泊まっていたという宿坊「世尊院」には昭和24年の宿泊の際軒先に掲げたと見られる木札も残っています。
こうしたことから、研究会は、敦賀の人たちは善光寺への信仰が厚く、少なくとも江戸時代から戦後まで盛んに参拝を続けていたと見ています。
長野郷土史研究会の小林一郎会長は「福井との歴史的なつながりを念頭に置きつつ新幹線の延伸をきっかけに先人たちが築いたつながりが再び強くなることを期待したい」と話していました。