サイバー攻撃を受けた「長野日報社」システム復旧で通常発行に

去年12月、サイバー攻撃を受けた影響で、一時、新聞のページ数を減らすなどして発行していた諏訪市の「長野日報社」は、システムが復旧したとして、20日から通常どおりの発行を始めました。

諏訪市に本社を置き朝刊およそ5万8000部を発行している「長野日報社」は去年12月、身代金要求型のウイルス「ランサムウエア」によるサイバー攻撃にあいました。
この被害で、1年分の記事や写真などを保管している大型のコンピューターや、紙面を作るのに使う16台のパソコンの大半が使えなくなりました。
長野日報社は、一時、新聞のページ数を減らしたほか、一部の特集記事の掲載も取りやめましたが、システムが復旧したとして、20日から通常どおりの発行を始めました。
原因については、「外部からのアクセスを制限する機能がぜい弱だった」としていますが、個人情報の流出は確認されなかったとしています。
長野日報社の宮坂康弘編集局長は「復旧まで2か月かかりましたが、外部からのアクセスもできないようシステムを見直しました。今後もよりよい新聞作りを目指していきたいです」と話していました。

身代金要求型のウイルス「ランサムウエア」による被害は全国で相次いでいます。
警察庁によりますと、おととし1年間に全国で起きたランサムウエアによる被害は230件に上り過去最多となっています。
事業活動に深刻な影響を及ぼした事例としては、おととし、トヨタ自動車の取引先の部品メーカーでシステム障害が発生し、トヨタが国内すべての工場を一時、停止する事態に追い込まれました。
また、医療機関で診療を停止せざるを得ない事態に陥ったケースもあります。
県内の中小企業のサイバーセキュリティー対策を後押ししている「長野県サイバーセキュリティ連絡会」によりますと、企業や団体などの中には、サイバー攻撃を受けたことを公表することで、信用を失うとして、公表しないケースもあり、被害件数は、把握している数よりも多い可能性があるとしています。
長野県サイバーセキュリティ連絡会事務局の普世芳孝さんは「県内の中小企業からは、『サイバー攻撃は自分たちに関係ない』という声をよく耳にするがそうではない。万一の被害を食い止めるためにも、ソフトウエアを最新のものに更新することや、セキュリティソフトを導入してもらいたい」と指摘しています。