諏訪産の蚕糸で純国産着物作るプロジェクト終了へ 展示即売会

諏訪産の蚕の糸「蚕糸」から純国産の着物をつくるプロジェクトが、13年の歴史に幕を下ろすことになり、最後の展示即売会が諏訪市で開かれています。

諏訪市の山田恒さんが営む呉服店は、かつて諏訪地域で盛んだった養蚕や製糸の文化を守ろうと、2012年から地元の養蚕農家や製糸業者と協力して純国産の着物を作る「諏訪の絹プロジェクト」を進めてきました。
しかし、着物需要の低下や染め物職人の減少を受けて、プロジェクトは13年目となる今年度で終了することになり、呉服店では最後に作られた反物の展示即売会を開いています。
プロジェクトに協力してきた茅野市の牛山金一さんは、諏訪地域に唯一残る養蚕農家として、毎年春と秋にそれぞれ3万3000頭ほどの蚕を育てて繭を作っています。
牛山さんは「プロジェクトが終わることは残念ですが、諏訪の文化である絹産業のために体の動くかぎり養蚕を続けたい」と話していました。
また、下諏訪町で国内で4か所しかない製糸所の1つを営む松澤清典さんは、牛山さんの繭を使って高品質な生糸を作ってきました。
松澤さんは「貴重な諏訪産の繭で特別な糸を作ることに誇りを持っていました。プロジェクトは終わりますが、これからも牛山さんの繭で糸を作り続けたい」と話していました。
呉服店の山田さんは「地元の繭から絹を作って着物を仕立てるのは、この業界に生きる者として大変光栄なことでした。地元の人には諏訪に残る絹の文化を大切にしてほしい」と話していました。
この展示即売会は、今月27日まで開かれています。