指揮者の小澤征爾さん死去 松本では音楽祭の総監督務める

海外の名だたるオーケストラで活躍し、松本市でも音楽祭の総監督を務めた指揮者の小澤征爾さんが、今月6日、都内の自宅で心不全のため亡くなりました。
88歳でした。

小澤さんは1935年に旧満州、いまの中国東北部で生まれました。
小学生の時初めてピアノに触れてレッスンを始め、その後、桐朋学園の音楽科に入学し、国内で数多くの指揮者を育てていた齋藤秀雄さんから本格的に指揮を学びました。
さらに世界的な名指揮者のカラヤンやバーンスタインに師事し、アメリカのボストン交響楽団や世界屈指の歌劇場として知られるオーストリアのウィーン国立歌劇場で音楽監督を務めるなど、世界的に有名な数々のオーケストラで長年活躍し、「世界のオザワ」と評されました。
また、平成4年からは、松本市で総監督を務める音楽祭を開催し、世界的な音楽家によるオペラやオーケストラの公演を行ってきました。
小澤さんは、今月6日都内の自宅で心不全のため亡くなったということです。
88歳でした。

小澤さんが総監督を務める音楽祭が開催されている長野県松本市の50代の女性は、「ショックすぎて言葉になりません。『音楽のまち松本』にしたのは、小澤征爾さんでした。世界中で愛された小澤さんの音楽がいつまでも残ってほしいです」と話していました。
また、60代の男性は、「松本市にとって身近な方だったので、ショックで驚きました。松本市を温かく見守りたくさん貢献してもらいました」と話していました。

小澤征爾さんが亡くなったことを受けて阿部知事は、「天性の鋭い音楽的感覚、集中力に満ちた指揮により、長野県に最高水準の音楽芸術を響かせるとともに、世界的な音楽祭に育てていただいた。改めて深く感謝するとともに心よりご冥福をお祈り申し上げます」とコメントしています。

小澤征爾さんは、平成4年から松本市で総監督を務める音楽祭を開催し、世界的な音楽家によるオペラやオーケストラの公演を行ってきました。
小澤さんが亡くなったことを受けて松本市の臥雲義尚市長は、「世界の音楽ファンから愛された偉大なマエストロ、小澤総監督のご逝去は、松本市民にとっても計り知れない喪失であり、痛惜の念に堪えません。心から哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします」とコメントしています。

小澤征爾さんは、平成4年から松本市で総監督を務める音楽祭を開催し、世界的な音楽家によるオペラやオーケストラの公演を行ってきました。
平成10年には長野オリンピックの開会式でベートーヴェンの交響曲第9番を指揮し、五大陸を中継でつないで合唱団が歌うという斬新な演出で観客を沸かせました。
平成18年以降は食道がんや心臓の病気、それに腰の手術などで音楽祭の指揮を降板するなどしていましたが、音楽への情熱は衰えず休養を繰り返しながら指揮を続けました。
また、20年余り前には「小澤征爾音楽塾」という教育プログラムを立ち上げ、世界の若手音楽家を指導してきました。
さらに、松本市で指揮した作品「ラヴェル:歌劇《こどもと魔法》」が、平成28年のグラミー賞の最優秀オペラ・レコーディング賞を授賞しました。
新型コロナやロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、おととしには、世界の人たちが助け合ってほしいというメッセージを届けようと、観客のいないホールでオーケストラを指揮し、YouTubeで配信しました。
また、去年の音楽祭ではおよそ50年の親交があるアメリカの映画音楽の巨匠、ジョン・ウィリアムズが小澤さんのために日本でタクトを振り、車いすに乗った小澤さんと握手を交わしました。