労災認定男性の遺族が当時の勤務先に損害賠償求める裁判始まる

職場での強いストレスが原因で自殺したとして、おととし、労災が認められた男性の遺族が、当時の勤務先の飯田市のメーカーにおよそ7000万円の損害賠償を求めた裁判が始まり、男性の母親は「原因を究明し、社員を守る意思を示してほしい」などと訴えました。
一方、会社側は訴えを退けるよう求めています。

訴えを起こしたのは、飯田市の精密機器メーカー「多摩川精機」に勤務し、2020年4月に34歳で自殺した吉田午郎さんの両親です。
飯田労働基準監督署はおととし10月、自殺は上司とのトラブルなど職場での強いストレスが原因だったとして労災と認め、両親は「会社は安全配慮義務を怠った」などとしておよそ7000万円の損害賠償を支払うよう求めています。
裁判は31日から長野地方裁判所松本支部で始まり、母親の吉田惠美子さんが「仕事で起きたことが息子の死の原因であることは労災が認められたことから明白です。原因を究明し、社員を守る意思を示してほしいです」と意見陳述を行いました。
一方、会社側は31日の裁判を欠席し、答弁書を通じて訴えを退けるよう求めましたが、これまで両親に対し「安全配慮義務違反などにより死亡に至ったことを前提とするのは、弊社の認識とは異なる」などと主張していて、裁判では会社が安全配慮義務を怠っていたかどうかが争われる見通しです。