信濃毎日新聞の樹木伐採の記事「真実に反する」決定 長野地裁

長野市に本社がある信濃毎日新聞社が国立公園内のスキー場の樹木が無許可で伐採された疑いがあると報じた記事をめぐり、長野地方裁判所がスキー場の運営会社が伐採に関わったかのような内容は「真実に反する」とした決定を出したことがわかりました。

信濃毎日新聞社は、ことし6月22日の朝刊に、山ノ内町と群馬県の中之条町にまたがる国立公園内のスキー場の樹木が無許可で伐採されている疑いがあるという記事を掲載しました。
このなかで、土地を所有する財団法人の理事長の話として、スキー場を運営する「S&T観光開発」の社員が伐採を認めたなどと報じていました。
これについて会社側は、2018年にスキー事業を承継した時点で、該当の場所の樹木はなかったなどとして、ことし9月、長野地方裁判所に新たな記事の掲載禁止を求める申し立てを行いました。
長野地方裁判所は今月出した決定の中で2018年より前の現場の写真などから、「以前から樹木が存在しなかったと認められ、記事は真実に反する」と指摘しました。
一方で新たな記事の掲載予定がないことなどを理由に申し立て自体は却下しました。
「S&T観光開発」の斉須正男代表は「新聞記事で非常にショックを受けたが、これまでの現場写真などで立証できてよかった」と話しています。
信濃毎日新聞社は「当該記事は可能な限り各方面に取材し報道していて、S&T社が無許可伐採を行ったとは断定していない。裁判所の見解は真摯(しんし)に受け止めて今後の取材活動にいかしていく」としています。