再就職目指して専門訓練 介護分野の講習終えて修了式 長野

仕事を求める人たちが一定の期間訓練を受けて再就職を目指す国の制度を活用し、県内の21人が介護分野の講習を終え、22日、長野市で修了式が開かれました。

厚生労働省の「公共職業訓練」制度は、仕事を辞め雇用保険の失業手当を受給している人などが、新たな業種への再就職につなげるため、費用の負担がなく専門的な訓練を受けられるものです。
この制度を活用した県内の21人が介護分野についての5か月余りの講習を終え、22日、長野市で修了式が開かれました。
21人は高齢者との接し方や認知症についての知識を学び、このうち10人はすでに福祉施設などへの再就職が決まっています。
千曲市内のグループホームへの再就職が決まっている20代の女性は「祖母を自宅でみとった経験から、高齢者や家族に寄り添える介護士になりたいと思いました。利用者の尊厳を大切にして、利用者の立場に立った介護をしていきたいです」と話していました。
厚生労働省によりますと、昨年度、仕事を辞めてからこの訓練を受けた人は全国で10万1775人に上っていて、ハローワークなどを通じて仕事を求める人に制度が案内されているということです。
長野労働局訓練課の吉村光代課長は「これまでとは違う仕事をしたいという人には、スキルアップにもつながるこの職業訓練制度を紹介して、人手が不足している分野の人材確保につなげたい」と話していました。

仕事を辞めた人が厚生労働省の「公共職業訓練」制度で訓練を受けられる分野は、ものづくりや事務、介護など、多岐にわたり、訓練期間も技能によって異なり、おおむね3か月から2年間です。
おととし、建設会社を退職した長野市の30代の男性は、再就職先を探す中で、ハローワークの職員に紹介されたということです。
男性は子どものころ、祖父母に面倒をよくみてもらった経験などから関心を持った介護福祉士を目指して、雇用保険の失業手当を受給しながら、去年から2年間の訓練を受けています。
今月は長野市内の老人ホームで実習に臨み、施設の職員に教わりながら利用者の身の回りの介助をしたり、健康のため一緒に体を動かしたりしていました。
来年1月に介護福祉士資格の試験を受ける予定で、みずからのキャリアアップにつなげたいと前向きに取り組んでいます。
男性は「以前は畑違いの仕事だったので不安がありましたが、丁寧に教えてもらったり利用者の介助を実習したりすることができて、勉強になりました。利用者に寄り添いながらいろんな場面で実践力のある介護福祉士になりたいです」と意気込んでいました。
また、実習先の老人ホームの担当者も、人手不足が深刻な中、異業種からの再就職を支援する訓練制度は新たな担い手確保につながると期待を寄せています。
特別養護老人ホーム「泉平ハイツ」の伊藤靖所長は「入所者を尊重した介護が必要だと思っているので優しい心を持って働いてほしいです。訓練制度が活用されて、多くの人に介護分野で活躍してほしいです」と話していました。