御嶽山噴火 国などに賠償求める訴訟2審始まる 東京高裁

長野と岐阜にまたがる御嶽山の噴火による被害は、気象庁が噴火警戒レベルの引き上げを怠ったことにより、立ち入り規制などが行われなかったためだとして、遺族らが、国などに賠償を求めている裁判の2審が東京高等裁判所で始まりました。

1審は、噴火の前日までに噴火警戒レベルを上げても、被害を防げたとは言えないとして賠償を認めなかったことから、遺族らは「レベルを引き上げれば立ち入りを規制できた」として訴えを認めるよう求めました。
死者・行方不明者が63人にのぼった平成26年の御嶽山の噴火で、一部の遺族ら32人は「気象庁が事前に噴火警戒レベルを引き上げるのを怠ったため、立ち入り規制などが行われず被害につながった」などとして国などに賠償を求めました。
去年7月、1審の長野地方裁判所松本支部は「噴火の2日前に地殻変動の可能性が指摘されたにもかかわらず、噴火警戒レベルを据え置いた気象庁の判断は合理性に欠け違法だ」と責任を認めた一方、「その段階から適切に対応していたとしても被害を防げたとは言えない」として、賠償については訴えを退けました。
遺族らは判決を不服として控訴し、18日から東京高等裁判所で2審が始まりました。
このなかで遺族らは「気象庁は遅くとも噴火の前日までに、噴火警戒レベルを引き上げることが可能で、それがあれば地元の自治体も事前に登山者の立ち入りを規制できた」と主張しました。
一方、国は「噴火警戒レベルの引き上げにつながる明確な観測データはなく、当時の判断が合理性を欠くとは言えない」などととして、訴えを退けるよう求めました。

原告の1人で、一緒に登っていた友人を亡くし、自身も大けがをした長野県茅野市の田幸秀敏さんは、審理のあとの記者会見で、「控訴審では国の責任と賠償が認められることを願ってきょうを迎えた。遺族や負傷者の誰もが二度と噴火災害が起きてほしくないと思っているので、国の防災体制の見直しにつながることを願っている」と話していました。
弁護団長を務める松村文夫弁護士は「2審での調査や検証によって、1審で否定された部分も認められると思っている。1審の判決が覆り請求が認められることを期待している」と述べました。