阿部知事 クマに襲われ死亡疑い事故「非常に深刻に受け止め」

先週、飯山市の80歳の男性がツキノワグマに襲われ死亡したとみられる事故が起きたことについて、阿部知事は、注意を呼びかけるとともに20日、県の担当部局の緊急会議を開き対策を検討することにしています。
阿部知事は記者会見で、「野生のクマによる死亡事故は県内では平成18年10月以来で、非常に深刻に受け止めている。自分の命や体を守るように心がけてもらいたいし、県としてもクマへの対策を強化していきたい」と述べました。

17日から18日にかけて、隣接する県などで、クマに人が襲われたとみられる事故が相次いでいます。
県内では先週、飯山市でクマに襲われたとみられる男性が死亡しています。
17日夜、富山市の住宅の敷地内で、クマに襲われたとみられる高齢の女性が死亡しているのが見つかりました。
富山県は、クマの出没警報を発令し警戒を呼びかけています。
富山県のほかに、群馬県や福井県でもクマに人が襲われた事故が相次いでいます。
長野県内では、今月14日、飯山市の山林内でクマに襲われたとみられる80歳の男性が死亡しているのが見つかりました。
クマは、イノシシ用のわなにかかっていましたが、数メートルは動ける状態だったということで、その後、猟友会によって駆除されました。
駆除に立ち会った、県のクマ対策員の後藤光章さんは、男性が襲われた場所は住宅地からもほど近い山林の入り口あたりで、この場所にクマが出没した理由を次のように分析しています。
「ことしの北信エリアのどんぐりとか堅果類のなりが若干悪いところがあって、本来ならこの時期は人里には近づかずに山の奥でどんぐりとかを食べているはずのクマが山際にいて、柿の木とかを狙って下りてきている状況」。
男性がクマに襲われたとみられる現場から数十メートルの場所には、柿の木があり、木にはクマが登ったとみられる痕が残っていました。
「新しい痕はこことか、ここはよく分かりますね。この4本のつめがめり込んでいるのが分かる」。
後藤さんは、クマの被害を減らすために、クマが登った形跡のある果物の木などは伐採することも対策の1つだと指摘します。
「これは去年よりも前の痕だが、古い痕が残されている。せめて以前の履歴が残っている木だけでも伐採しておくことでリスクをなくすことができる」。
県のまとめによりますと、今年度に入ってから先月末までに、県内では合わせて9人がクマに襲われてけがをしたということです。
また集落や畑の近くなど「里地」でのクマの目撃件数は先月末までに1100件で、すでに昨年度を上回っているということです。

こうした状況について、阿部知事は「野生のクマによる死亡事故は平成18年10月以来で、非常に深刻に受け止めている。命や体を守るように心がけてもらい県としての対策・対応については必要なところは見直し、クマへの対策・対応を強化していきたい」。
県は20日、担当部局の緊急会議を開き、クマの目撃や被害の状況を共有するほか、クマが目撃されている場所の緊急点検を行うなどの対策を検討することにしています。