長野県が生産量全国一のまつたけ ことしはほとんど収穫できず

まつたけの生産量全国一を誇る長野県でいま異変が起きています。
例年なら9月から10月にかけて収穫のピークを迎えますが、ことしはほとんど収穫できていないというのです。
専門家はこの夏の異常な暑さと雨の少なさが原因ではないかと指摘しています。

長野県は、去年の林野庁の統計では、まつたけの生産量が日本一で、全国の6割以上を占めています。
例年なら9月から10月にかけて収穫のピークを迎えますが、ことしは極端に収穫が少ないといいます。
このうち青木村の道の駅では、9月に入っても入荷がなく、例年ならまつたけが並ぶ入り口近くの陳列台では代わりに花が売られています。
この道の駅では今月4日になってようやくまつたけが入荷しましたが、例年より量は少ないということです。
また、県内でもまつたけが多く採れることで知られる、上田市の老舗温泉旅館は、毎年、この時期、国産のまつたけ料理のフルコースを提供していますが、ことしは外国産に切り替えています。
旅館が一部を所有する山でもまつたけが全く採れず、予約客にはあらかじめメールや電話で外国産を使うことを伝えているということです。
まつたけの生態に詳しい信州大学農学部の山田明義教授は「長野県全体でまつたけが少ない状況」だと指摘したうえで、この夏が異常に暑く雨も少なかったため菌が成長できていないことを理由に挙げています。
気象庁によりますと、上田市のことし8月と9月の平均気温は平年に比べて2度から4度近く高く、雨の量も8月は平年の半分以下でした。
山田教授によりますと、まつたけが10月中旬以降に多く採れた年もあるということで、関係者は今後のまつたけがどうなるか気をもんでいます。

まつたけの国内の生産量は長期的なスパンで見ると減少傾向にあります。
林野庁の統計によりますと、年によってバラツキはあるものの去年は全国で36トンと、30年前の平成4年と比べるとおよそ6分の1、60年前の昭和37年と比べるとおよそ30分の1にまで減少しています。
信州大学の山田教授によりますと、かつては西日本でもまつたけが多く採れていましたが、いまではかなり少なくなっているということです。
山田教授は、まつたけを採り続けていくためには、地域をあげた山林の保護が欠かせないと指摘しています。