高級ブドウの盗難対策 AIセンサーカメラを活用し監視 中野

全国トップクラスのブドウの生産量を誇る長野県では、シャインマスカットやナガノパープルなどの高級ブドウが収穫の最盛期を迎えていますが、農家を悩ませているのが後を絶たない盗難被害です。
大切に育てたブドウを被害から守ろうと、中野市では新しい技術を使った対策が始まっています。

警察によりますと、県内では8月末時点でシャインマスカットなどおよそ300房の盗難被害が報告されています。
JAのまとめで、これまでに100房近い盗難被害が発生している、県内有数のブドウの産地、中野市では先週、ブドウ畑を見回る夜間パトロールが行われました。
JA中野市ブドウ部会の岩下祐樹さんは「手をかけて育ててきたものが盗まれるのはやるせない思いだ。我々が回ることが抑止力になってほしい」と話していました。
その中野市でパトロールとあわせて試験的に導入された盗難対策が、AIを活用したセンサーカメラです。
畑への侵入を検知するとAIが人か動物かを判定して自動的に撮影し、わずか数十秒で所有者のスマートフォンに鮮明な動画が通知されます。
通常の監視カメラと違い、侵入を瞬時に把握できるため、警察への通報なども迅速に行えます。
さらに、AIセンサーカメラには、侵入者に音声で警告する機能も備わっています。
巨峰などを育てる農家の田中章さんは、過去に盗難被害にあった際、カメラがなかったことなどから状況が把握できず、警察への届け出は断念したということで、その経験も教訓にことしからAIセンサーカメラを畑に取り付けました。
田中さんは「自分のことは自分で守るという意識もありカメラを導入した」と話していました。
JAによりますと、これまでに中野市内のブドウ農家およそ550軒のうち、10軒程度がAIセンサーカメラを試験的に導入しているということです。
JAは今後、いっそうの導入をはかるため、行政に補助金なども含めた支援を働きかけていくことにしています。