長野県 新型コロナで「医療警報」5類移行後初 感染対策を

県は29日、新型コロナウイルスの感染者数が増加し、入院患者が増えているとして「医療警報」を発表しました。
県が医療警報を出すのは新型コロナが5類に移行してから初めてで、基本的な感染対策などを呼びかけています。

県によりますと、新型コロナの感染者数が増加傾向にある中、27日時点で県内の医療機関から情報共有された入院患者は341人となりました。
現在、県は、医療警報を出す目安を入院者数が「300人以上」としていますが、今回、この目安を超えたため29日、医療警報を出しました。
県が、医療警報を出すのはことし5月、新型コロナが5類に移行してから初めてです。
県は、手洗いや換気などの基本的な感染対策のほか、重症化リスクの高い人は近い距離での会話を避けること、また、発熱やのどの痛みなどの症状がある場合は出勤や登校などの外出を控えることなどを呼びかけています。
29日、記者会見した関昇一郎副知事は「お盆の影響などで患者数が増加していて、当面、入院者数がすぐに減少に転じるとは考えにくい。こうした状況を県民と共有して重症化リスクの高い人を守っていく」と述べました。

新型コロナの感染者数の増加要因について、感染症の専門医は、5類に移行し、人と人との接触機会が増えているためだとした上で、今後は、誰もが、感染しても重症化しないよう日頃の体調管理を徹底することが大切だとしています。
「南長野医療センター篠ノ井総合病院」に務める感染症専門医の小川英佑医師は、新型コロナの感染が拡大している今の現状について、「大きく捉えると第9波の中にいると個人的には考えている。5類に移行したことで、1つの空間の中でより多くの人が集まるようになり、マスクを外す人も増えている。誰か1人がウイルスを持ち込むと感染が広がりやすい環境にあり、結果として感染者が増えている」と分析しています。
そして、小川医師は「より多くの人が集まり、マスクを外す人が多い中で感染しないようにすることは非常に難しい」と指摘した上で、「今後は誰もが重症化を防ぐための対策に移る時期だと思う。一般的に若い人は風邪と同じような症状だが、高齢者や免疫が低い人などは肺炎を起こしたり、食事が出来なくなったりする危険性がある。ワクチン接種だけでなく、日常の生活の中で疲れをためすぎないことなど気を配って生活を送ることが重要だ」と呼びかけました。