野尻湖の水位 猛暑で大幅低下 隣の新潟の農業用水不足も影響

記録的な猛暑が続くなか、信濃町の野尻湖では大幅に水位が低下していて、観光客向けの遊覧船やボートが一部利用できなくなるなど影響が出ています。

信濃町の標高650メートル余りの高原にある野尻湖は、ナウマンゾウの化石が多く見つかっていることで全国的に知られるほか、その美しい景観で人気の観光スポットとなっています。
ところが、記録的な猛暑が続くなか、野尻湖の水位が減少していて、桟橋の橋脚や護岸などがむき出しになっていたり、わかさぎ釣りの船の底が湖底に着いたりしています。
毎日、湖の水位を測っている遊覧船の運航会社によりますと例年、夏場は水位が下がる傾向にありますが、ことしのお盆明け以降は特にひどく、例年の倍近い2メートル余りも水位が下がっているということです。
このため、300人以上を乗せられる大型の遊覧船が、湖の中にある弁天島に接岸できなくなったほか、自分でこぐスワンボートも桟橋が使えなくなった影響で数を減らさざるを得なくなりました。
このまま水位が戻らなければ、美しい紅葉などが楽しめる秋の行楽シーズンにも大きな影響が出るおそれがあります。
野尻湖定期船会社の石田貴幸社長は「これほどの水位低下はこれまで経験したことがない。秋の連休までに水位が少しでも戻ってきてほしい」と話していました。

野尻湖の水位低下には、信濃町に隣接する新潟県の雨不足による農業用水の不足が大きく影響しています。
新潟県上越市の関川水系土地改良区では、稲作シーズンの毎年6月から9月上旬にかけて、5600ヘクタール以上の田んぼで、野尻湖から農業用水の供給を受けています。
野尻湖の水の利用は、江戸時代に上越市周辺を治めていた高田藩が用水路を作って以来、300年以上続いています。
一方、この地域で使う農業用水のもう1つの主な供給源、新潟県妙高市の笹ヶ峰ダムは、先月下旬から続く新潟県内の雨不足の影響で、今月24日に貯水率がゼロとなりました。
笹ヶ峰ダムの枯渇は平成6年以来およそ30年ぶりだということです。
この地域では、例年、野尻湖の水を使いすぎないよう調整していますが、ことしは野尻湖の水に頼らざるを得ない状況となり、水位の低下につながっているということです。
関川水系土地改良区の野口和広理事長は「野尻湖の水が使えるのは本当にありがたい。先祖代々からの貴重な水なので野尻湖に感謝して、いいお付き合いをしていきたい」と話していました。