「医療的ケア児」を安全に搬送する器具 長野市の企業が開発

少しの衝撃でも骨折するリスクが高く、緊急時の移動が難しいとされる「医療的ケア児」を安全に搬送するための器具を、長野市の企業が開発しました。

難病などで、人工呼吸器やたんの吸引などが必要な「医療的ケア児」は、全国でおよそ2万人、県内で500人余りいるとされます。
体を動かすことが難しいことなどから、骨が成長しにくく、少しの衝撃でも骨折しやすい子どもが多いため、家族以外の慣れない人が、救急や災害の際に子どもを安全に移動させられるかが課題でした。
こうした課題を解決しようと、長野市の企業は、「医療的ケア児」を安全に移動できる器具を開発し、7日、県庁で披露しました。
開発された器具は、80センチ四方の厚手のマットのような形状で、子どもが横たわった状態で内部の空気を抜くと、中に入っている発泡スチロールのビーズが体型に合わせて固定されるため、外部からの衝撃を和らげることができます。
移動の際は、介助する人が、ベルトで肩からかけるなどして使用し、子どもの対象は、身長110センチほどまでだということです。
こうした子どもを持つ県内の家庭から相談を受けた北アルプス広域消防本部が、商品開発などを支援する県産業振興機構に協力を求めたところ、長野市の医療機器などを企画・製造する企業につながり、およそ1年の開発期間を経て完成しました。
開発した企業によりますと、来月から製品を販売するほか、県立こども病院でも利用してもらい、改良につなげるということです。
北アルプス広域消防本部の細川彰夫消防長は「私たちが持っている機材では対応できなかったが、これを使えば救急の現場でよりよい活動ができる」と話していました。