長野市議会開会 ネット中傷防止条例案を超党派の議員が提出へ

3日、長野市の定例市議会が開会し、一般会計の総額で25億7000万円余りの補正予算案を含めた18の議案が提出されました。
また、会期中には、超党派の議員が、インターネット上のひぼう中傷を防止する条例案を提出する予定です。

長野市の定例市議会は、3日開会し、一般会計の総額で25億7000万円余りの補整予算案を含む18の議案が提出されました。
補正予算案には、子どもたちのスポーツ体験や英会話教育などを支援するため市内の小中学生全員に1万円分の電子クーポンを配布する事業に、3億6000万円余り、物価高対策として市内の18歳以下の子どもに、所得制限を設けず1万円ずつ給付する事業に、およそ6億円が計上されています。
また、会期中の8月10日の本会議では、超党派の議員9人が、インターネット上のひぼう中傷を防ぐことなどを目的とした条例案を提出する予定です。
プロレスラーの木村花さんがSNSでひぼう中傷され命を絶った問題を受けて、ことし2月から本格的な準備が進められていました。
条例案には、インターネット上の情報を正しく理解し適切に判断できる能力、「インターネットリテラシー」の向上や被害者を支援する枠組みをつくることが、盛り込まれる見通しで、8月22日の議会最終日に採決が行われる予定です。
<専門家は・・・>
全国の地方自治体の条例を調査・研究している「地方自治研究機構」の井上源三顧問によりますと、長野県や県内の市町村でインターネット上のひぼう中傷防止や被害者支援などを定めた条例を制定した例は確認されていないため、長野市議会で可決されれば県内では初めてのケースになるとみられるということです。
インターネットなどへの書き込みによる人権侵害に関わる条例としては、3年前に群馬県が全国の都道府県に先駆けて、被害防止や被害者支援などを推進する条例を定めました。
また、大阪府や東京・江戸川区などでも被害防止などの施策を進める条例が制定されているということです。
井上顧問は「ネット上にはさまざまな情報が飛び交い、人権侵害となっている例も見られていて、自治体は看過せず市民の被害を防ぐことが求められている。条例の制定は、ネットの中傷で苦しんでいる市民にとって有意義だ」と指摘しています。