リニア労災事故で報告怠ったか 労基署が建設会社など書類送検

飯田市で行われているリニア中央新幹線のトンネル工事で、ことし4月、労災事故が起きたにも関わらず速やかな報告を怠ったとして、労働基準監督署は、建設会社とその作業所長を労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しました。

書類送検されたのは、東京に本社がある建設会社「成豊建設」とこの会社の61歳の作業所長です。
長野労働局によりますと、ことし4月20日、飯田市で行われているリニア中央新幹線のトンネル工事現場で、建設会社の作業員が地盤の掘削を行っていたところ、コンクリート片が落下し右肩付近に当たりました。
作業員は、けい椎を捻挫し4週間の安静加療が必要との診断を受けたということです。
作業員が負傷して4日以上休んだ場合は、労働基準監督署に遅滞なく報告することが求められていますが、今回、建設会社から報告があったのは、事故から1か月近くたった5月15日で、建設会社と作業所長は速やかな報告を怠った労働安全衛生法違反の疑いが持たれているということです。
長野労働局労働基準部監督課の森孝行監督課長は14日、長野市で会見を開き、「リニアの工事には多くの作業員が携わっているが、安全上、懸念される事故も出てきているので、監督指導を積極的に行っていきたい」と述べました。
建設会社はNHKの取材に対し、「事故が起きたことは事実だが、書類送検されたか確認ができていないので何も話せない」とコメントしています。
また、JR東海は、「下請け会社が書類送検されたという報告を受けて遺憾だ」とするコメントを発表しました。