中央アルプスのニホンライチョウ 去年の2倍80羽程度生息か

復活計画が進む中央アルプスのニホンライチョウについて環境省が調査したところ、生息数は去年の同じ時期のおよそ2倍にあたる80羽程度と見込まれ、順調に増えていることが分かりました。

国の特別天然記念物のニホンライチョウは中央アルプスでは絶滅したとされていましたが、2018年にメス1羽の生息が確認されたのをきっかけに環境省は復活に向けた計画に取り組んでいます。
2020年には、比較的生息数が多い北アルプスの乗鞍岳から木曽駒ヶ岳にライチョウの親子を移し、自然繁殖させることに成功しました。
そして去年夏には、動物園で繁殖させたひなやその親鳥など22羽のライチョウを木曽駒ヶ岳に放つ取り組みが行われました。
環境省がことし4月から今月3日にかけて調査を行ったところ、中央アルプス全域で71羽のライチョウが確認されました。
調査で確認できなかった個体も含めると、生息数は去年の同じ時期のおよそ2倍にあたる80羽程度になると見込まれています。
復活計画では、中央アルプスのライチョウを75羽から125羽程度に増やすことを目指していて、今回、目標の下限に到達したかたちです。
これについて、環境省信越自然環境事務所の小林篤専門官は「ライチョウが右肩上がりに増加していて、順調に数を増やすことができていると受け止めている。今後、目標の上限の125羽まで増やせるよう取り組んでいきたい」と話しています。
環境省は、さらに個体数を増やすため、来年9月ごろをメドに動物園で人工ふ化させたひなを中央アルプスに移す計画です。
ただ、人工ふ化のライチョウを野生でも生きられるようにするには、エサとなる高山植物を分解するための腸内細菌を体内に定着させる必要があります。
そのため動物園では、この腸内細菌を含んだ野生のライチョウのフンを粉末にして人工ふ化のライチョウに与える取り組みを進めているということです。